呉服店が数年前に使用した広告コピーが今になって批判されています。 多くの人に着物への関心を持ってもらうことを意図した、攻めた広告だったという説明がされましたが、こうした批判・炎上時代の広告主のリスクを考えます。実は元々ブランドマネージャーとして、スポンサー側で広告を作る側だった立場での意見です。
・原点は販売促進
バブル時代、感性広告などといわれて、意味不明のCMを作る企業がカッコいい、ベタベタな販売促進広告はダサい、という価値観がかなり広がり、同時に広告を作る側の人が文化人などとして評価されるようになりました。ですが、やはり時代は変わり、単に目新しい、意味不明。それどころか批判や炎上を呼びかねないリスキーな広告はもはや通用しません。
いや、どんな批判もすべて受け止めるという覚悟のできる、オーナー企業のトップ以外、そんなリスクを負うことは不可能です。特にコミュニケーションリスクは日々の営業に直結しますから、広告を担当する方が専門家かそうでないかを問わず、広告効果とリスクをしっかり判断して展開することが欠かせません。
今の時代であれば、単に「注目を集める」「関心を持ってもらう」という目標はあまりに中途半端すぎます。広告予算を数十億投入できるならまだしも、大手広告代理店なら相手にしないような予算規模で広告展開している企業の方が圧倒的に多いはずの環境で、よくいえば高邁な、率直にいえば分をわきまえない目標設定は間違いだと思います。
私もテレビなどあり得ない、きわめて限られたマーケティング予算をやりくりして、どうすれば広告効果が出せるかをひたすら考えて出稿してきました。媒体選択含め、広告主が戦略と目標を考えなければならないのです。その結果、販売促進につながるというある程度の確信を持てる時にだけ、広告を出せば良いはずです。
単に効果が出ないどころか、炎上・悪評リスクを負ってしまう時代になったことを今一度経営者は認識すべきだと思います。
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2009.11.12
2010.03.20
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。