コンサルティングプロジェクトの現場や研修でケーススタディなどをやっている時にこういう声をよく聞きます。「情報がないから決められません、分かりません。」 確かにおっしゃる通りですが、限られた情報の中で最適な解を出すことが今後益々求められていくのではないでしょうか。
つまり競わせ方が変わってきます。サプライヤの評価もQCDだけではなく、どういうサービスが提供可能なのか、どういう技術を持っているのか、信用力や設備保有、設備の稼働状況がどうなのか、どういう人材がいるのか、などの複合的な要素からサプライヤの得意分野を見極め、適切なサプライヤをパートナーとして選定することが求められるのです。このように、相見積とって一番安い所を選びましょう、というような簡単な意思決定ではなくなります。
しかし考えてみよう、実は情報がない、というのは大きなチャンスではないでしょうか。「決まったものを安く買う」のは限界がある、とバイヤーは常日頃言っています。開発購買が効果的なのは、情報がない、決まっていないからコスト削減のチャンスが大きいのです。
これは購買業務におけるサプライヤ選定業務だけに限りません。全ての意思決定で「情報がない」段階で適切な判断ができる能力が求められているのです。以前、何かの本で読んだことがありますが、優秀な経営者は限られた情報の中で、過去の経験などを踏まえ、良い判断をする能力が高いそうです。このような能力を高めない限り業務は作業になり、RPAやAIに置き換わっていくでしょう。
これからのバイヤーはこういう意思決定をやっていかなければなりません。そのためにはより高度な情報収集能力や論理的な判断力が求められます。まずは、「情報がないから決められません」ではなく、こういう機会をチャンスと捉えていくことが重要ではないでしょうか。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。