ここ近年、飲食・サービス業界を中心に深刻化している人手不足問題。 とくに、危機的な人手不足に直面するコンビニ業界では、一部の店舗で深夜の営業を取りやめるなど、24時間の営業体制を見直す動きも広がっている。そうした事態を受け、経済産業省はコンビニ各社の本部に対して、人手不足対策の早急な検討を要請。すでにファミリーマート・セブンイレブン・ローソンの3社では、顔認証システムを活用した実験店やセルフレジの導入を進めるなど、少人数で運営できる店舗づくりに向けて動き始めている。 果たして近い将来、街のコンビニはどのような姿に変わっていくのだろうか……。店舗運営の省力化・省人化を急ぐ、大手コンビニ3社の取り組みにフォーカスする。
実験店では店舗スタッフの負担を軽減するシステムも導入している。常駐スタッフは1人のみで、基本的にはスタッフがいなくても買い物が可能だ。店内の様子はカメラで遠隔から確認でき、発注業務にはAI(人工知能)を活用。販売実績や季節・天候などのデータをもとに、AIが各商品の発注数を提案することで、発注業務の所要時間を約4割削減できたという。
今後セブンイレブンでは、実験店の運営を通して導入企業の社員が快適に利用できるサービスを検証し、他のオフィスや病院、工場など、利用者が限られる場所への出店も検討していく考えだ。ただ、同社では「省人化店舗はあくまで顧客との接点を増やすためのもの」と位置付けており、現時点では完全無人化店舗を展開する予定はないという。同社の古屋一樹社長も「機械でできることはデジタル化を進め、スタッフには接客に注力してもらう」と、人的サービスのさらなる充実に意気込みを示す。
消費税増税前にセルフレジを全店に導入するローソン
画像はセルフレジのイメージです
次世代型店舗の実験を進めるファミリーマート・セブンイレブンに対して、ローソンは今年10月までに、国内の全店舗(約1万4000店)にセルフレジを導入する。客自身が商品のバーコードを専用レジにかざすだけで決済でき、1日の店舗業務の3割にあたる5時間分のレジ作業を削減する狙いだ。支払方法はクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス限定で、10月からの消費税増税でキャッシュレス決済のポイント還元が始まることも意識している。
また、ローソンではセルフレジに先がけて「ローソンスマホペイ」という独自のアプリを展開。客が自分のスマートフォンで商品のバーコードを読み取り、店内のどこでも決済できるので、弁当やパン、飲み物やスナック菓子などのチョイ買いに便利だ。こちらも導入店舗が増えており、アプリの登録や利用手順がやや面倒という声もあるが、レジ待ちのストレスから解放されるのは大きなメリットといえるだろう。
ただし、セルフレジもスマホレジも現金払いはできず、1回あたりの決済金額は1万円が上限。年齢確認が必要な酒類・タバコや、切手、はがき、医薬品、一部フード類なども購入できない。
大手各社に広まる24時間営業の見直し
ここ最近、コンビニをめぐっては24時間営業の是非を問う議論も広まっている。今年2月には大阪府東大阪市のセブンイレブンFC店のオーナーが、人手不足による負担が限界に達したとして深夜の営業を停止。これを受けてセブンイレブン本部は、時短営業の実験を3月から全国の直営10店舗店で開始し、ファミリーマート・ローソンも24時間営業の見直しを表明するなど、人手不足の影響は各社に波紋を広げている。
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