自宅にいながらにして、そばや中華料理を電話で注文して配達してもらう……。そんな昭和の時代から続く「出前」がいま様変わりを遂げ、老若男女を問わず大流行中だ。 米国のシェアリングサービス大手のUber(ウーバー)が、日本を舞台に飲食店の「宅配代行」を軌道に乗せたことで一気に火がつき、そこに既存の国内宅配会社も積極的に参入。まさにいま、熾烈なシェア争いが起こっている。その理由のひとつに、秋からの消費税増税後、テイクアウトや出前は税率据え置きの軽減税率の対象になっていることが挙げられる。 ショッピングもスマホで、食事もスマホで……。私たちの生活様式は明らかに大きな変化の過程にあるが、今回は飲食業界で注目が集まっている「宅配代行」の今後の成りゆきについて考えていこう。
軽減税率が、宅配サービス拡大に追い風
市場調査会社のエヌビーティー・ジャパンによると、日本の外食宅配サービスの市場規模は、2016年が前年比7%増の3770億円。17年が前年比3%増の3857億円と伸びている。
市場が拡大している背景には、スマホで簡単に注文できる環境が整ったことに加え、買い物や調理、片づけといった手間を宅配で簡単に済まそうとしている人が増えているなど、共働き世帯増加も一因としてあげられる。共働き世帯の増加については、内閣府によると2017年で1188万世帯にのぼり、専業主婦世帯の約2倍にまで増えていることが明らかになっている。
もうひとつ外食宅配サービスにとって追い風になっているのが、10月の消費税増税だ。レストランなどでの外食は、ほかと同じく課税額が10%に引き上げられるが、料理のテイクアウトや宅配は食材などとともに8%に据え置かれることになっている。
── 同じメニューながら、店で食べるのと家で食べるのとで2%の差が生まれることなる。もちろん、宅配には手数料が加算される見込みなので、いちがいに安いと決めつけるのは早計だが、税率の据え置きは料金を支払う消費者側にすれば、最初の印象として「安い」という感覚を抱くことになる。さらにそこに「便利さ」が加われば、利用しない手はないからだ。
こうした点が、宅配サービスに大いに追い風になっているのは確かだが、この秋、いよいよ消費税があがる。その変化の中で、今後ますます外食の宅配サービスが増えていくことは間違いないだろう。
≪記事作成ライター:小松一彦≫
東京在住。長年出版社で雑誌、書籍の編集・原稿執筆を手掛け、昨春退職。現在はフリーとして、さまざまなジャンルの出版プロでユースを手掛けている。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp
【転載元】
リーダーズオンライン(専門家による経営者のための情報サイト)
https://leaders-online.jp/
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