世界のなかでもキャッシュレス決済後進国であると言われる日本が、10月からの消費税増税や2020年東京オリンピック・パラリンピックを前に、「キャッシュレス元年」と言われるほど、さまざまなサービスが登場しています。実際に電子マネーなどの台頭により、1円玉の流通量も減っているとか。 これまで3回にわたり、キャッシュレス決済と日本の現状についてお伝えしてきましたが、今回は、都内を中心に増えつつある“現金おことわり店”について紹介します。 北欧などでは、現金おことわりが当たり前になりつつあるようで、その現状もあわせてご紹介します。
キャッシュレス化で働き方が変わる?
というのも、この店は、支払いはクレジットカードや電子マネーなどしか使えないキャッシュレス決済店であったからです。つまり現金しか持っていない客は店を利用できず、店舗内には現金どころか金庫もない──。そんな実験的な店舗だったのです。
オープンから一年以上が経ちますが、その後の業務状況について「現金の管理をなくしたことで、既存の店舗で19%だった店長の管理・事務業務が6%弱に低減し、その分接客や調理、店員の教育を手厚くできている」(日経新聞)そうで、キャッシュレス化により、働き方の改革にまでつながっている現状が見て取れます。
こうしたキャッシュレス店は増え続ける傾向にあり、たとえばカフェバー「プロント」も2018年11月に丸の内商業施設内にて、現金決済できない店をオープンさせており、2020年までに30店舗に拡大していく予定になっています。
“現金主義”と言われる日本人ですが、「現金おことわり」店が少しずつ広がることで、そのマインドにも変化が起きてくるかもしれません。
ATMも撤去!?スウェーデンの状況とは
海外に目をやると、キャッシュレス社会が驚くほど進んでいる国があります。
有名なのはスウェーデンで、街のいたるところで、「NO CASH」や「CASH FREE」(※いずれも現金拒否の意味)の看板が掲げられている風景が見られます。
スウェーデンがキャッシュレス大国になった発端は、1990年代初めの金融危機までさかのぼります。このとき、金融機関が一体となって生産性の向上を目指したこと、また多発する現金強盗対策、マネーロンダリング対策としても、キャッシュレス化が推進されました。
また北欧という地域の特性上、冬季の現金輸送の困難さや人手不足もあり、キャッシュレス化に伴う利点は多くあったわけです。
政府は交通機関での現金取り扱いをやめたり、“現金おことわり店”に対しては税法上の優遇措置をとったり、さまざまな施策を行いました。2010年から2012年にかけて金融機関の500の営業店で現金を取り扱わなくなり、ATMも900台撤去されました。
結果として、2008年に年間110件発生していた銀行強盗が、2015年には年間7件に激減。スウェーデン中央銀行によると、2015年には国内で行われる決済手段に占める現金の割合は、わずか2%というから驚きです。
あらゆるところで「NO CASH = キャッシュレス」
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