時間や日時、日程などのD(Delivery)条件で値段に差がつくことはB2Bのマーケットではあまり一般的ではないでしょう。しかし、今後は購買条件を多様に捉え、サプライチェーン全体のサステナビリティにつなげるとともに、サプライチェーン全体のローコスト化にもつなげていく必要があります。
多くの企業では「一物一価」という言葉を同じサプライヤから購入する同一の商品は同一の価格である(べき)」という意味で使っているのが一般的ではないでしょうか。
「一物一価」の概念からもわかるのはB2Bマーケットでは購買条件はあまり多様化していない、ということです。
主要な購買条件はQCDの3つになりますが、B2BマーケットでQ(品質)はコントロール可能であれば、ある程度価格差につながる購買条件になっています。
しかしDの条件によって価格が異なるケースはあまり多くありません。B2Cではアマゾンを始め多くのECで翌日配送で価格差をつけているのが一般的です。しかしB2Bではロット条件(引き取り条件)によって同一商品で価格差をつけているケース位しか聞いたことがありません。時間という概念を購買条件として設定しているケースはあまり多くなく、リードタイムを予め設定した上で一物一価を決めているのが一般的です。
しかし本来はDの条件(特に時間)はコストに大きな影響があります。例えば今は忙しいけど1か月後の納品でよければ生産が平準化できてコストが安く抑えられる、とか、場合によっては今は忙しくないから安く買うことができる、とかです。
また、リードタイムの長さによって同じ商品でも生産効率がよくなるとか、在庫を持たなくてすむ、とかいうケースは必ずある筈です。この場合は、リードタイムが長いとサプライヤのコストが下がります。これはサプライヤのコストを下げることにつながるので売る側にもう買う側にもウインになるのです。
明日の納期だと120円だが一週間先だと100円になるとか、今日納品の方が一週間先よりも安くなるケースも出てくるでしょう。このように購買条件を多様化して捉えることが今後注目されます。
購買条件を多様化して捉えて最適化を図ることはサプライチェーンのサステナビリティ(持続可能性)にもつながるでしょう。またサプライチェーン全体でのローコスト化にもつながります。「いつ買うか」という時間という購買条件だけでなく、もっと様々な購買条件も考えられるでしょう。将来的にはAIを活用した最適購買条件シミュレーションなども実現できる世の中になるかも知れません。
このようにバイヤーはもっと購買条件を柔軟に捉えることで最適化を検討する必要があるのではないでしょうか。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。