日本の経営者はアカデミックな知見を軽視する傾向がある、と以前に書きました。そして、ITに強くない経営者が多いことも事実だと思います。データ、インフォメーション、ナレッジ、ウィズダムと言われて、ピンと来る人は、ITの知見に強い人だと思います。
「情報は大量に集めると価値を産む」という知見は、広まってきました。知っている人も多いと思います。
古いケースですが、創業期のリクルートさんは、求人情報を大量に集め、求人情報誌を作り出し、大きな価値を産みました。
この「INSIGHT NOW!」も大量のインサイトを集めて公開することで、価値を生もうとしていますね。まだまだ発展途上ではありますが。
でも、情報をランダムに集めても価値は低いです。整理整頓されていないといけない。整理されていない個別の情報を「Data」、日本語では生データと言います。インターネット上に散在しているページは、生データの状態です。
それがきれいに整理されている。なんらかの軸に基づいて整理されていて、軸ごとに並んでいる。このサイトだと、どういうロジックか私は理解していませんが、どうも人気ランキング順に並んでいる。そして、一応、「経営戦略」、「ビジネスプロセス」、「人事/組織」などのカテゴリがある。
このように、集積された1つ1つの生データが整理されているのを、「Information」、インフォメーションと言うんですね。
この「INSIGHT NOW!」はクリティカルな軸が、ランキングとカテゴリです。でも、カテゴリは目立つところに表示されていないですね・・・。
それはそれとしまして・・・、ここまでは普通のお話しです。
ここからが情報価値に関して大事なお話しです。
インフォメーションレベルの情報から、例えば「AならばB」などの関係性に関する知見を見出したとします。その見出した知見を「Knowledge」と言います。
例えば、このサイトで言えば、「1位になると、アクセスが急増する」も一つのナレッジです。何の役に立つかは不明ですが・・・。
普通の企業に置き換えて見ましょう。ある商品の受発注システムに上がってくる情報が蓄積されていたとします。今時、いくつかの軸で集計して、帳票を出力する機能は普通についていますね。
それで、新商品を出すと、どうも2週目の受注が最高になる傾向があることがわかった。1つ1つの受注が生データで、これは、受注数と、週数を軸に見たデータがインフォメーションで、「2週目の受注が最高になる」、がナレッジですね。
こういったナレッジから、初週と2週目の受注から、最終的な受注量を予測するモデルが作れる!といったこともあります。
未来の情報が手に入るんです!
私は、このサイトで1位になったことはないですが、もし1位になったらそれからアクセスが急増することが予測できます。だから、1位になったら、すぐに宣伝色の強い内容を入れよう!バナーを貼ろう!という意思決定も有り得ますね。
(はじめから宣伝色が強い記事は上位にいかないのでは?という仮説がこの意思決定の前提になってますけどね・・・)
次のページ でも、意外と普及していないのでは?と思うのは私だけで...
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ナレッジマネジメント
2008.03.12
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。