10月24日開幕したばかりの日本初のプロ卓球リーグ「Tリーグ」は、今世界選手権よりレベルが高いと噂されているが、聞いてみるとチェアマンも自信満々だ。 「プロの卓球は、生で見ると違うんですよ!特に男子は、エース級の選手がちりばめられた世界有数のレベルになりました」 始まったばかりだが、これからもずっとリーグの強さが薄まらないように、トップクラスのプロ選手に参加してもらうため、年俸の設定もハイレベルだ。 日本のリーグを目指して、世界中から強い選手を集まってくる、国内の選手も切磋琢磨し、凄腕に育っていく。そして幅広い年齢の卓球ファンがシーズンを通していい試合を観戦できる環境、まず目指すはそこだ。
卓球少年、将来はラケット一本で食う自信
チェアマンの松下浩二さんは、オリンピックに4大会連続出場記録をもつ、世界的な卓球選手だった。
海外でプロプレーヤーとして活躍した経験や知見が日本でのプロ卓球リーグ設立に活かされている。松下少年の卓球人生は、9歳から始まる。
「兄貴が中学の卓球部で、部活以外に夜も近所の卓球場で練習をしていました。父が兄の送迎をしていたのですが、ついでに卓球で遊んでいるうち、大好きになりました。スポーツは野球や水泳、剣道もやっていましたが、団体競技には向いていないんですよね。
卓球は自分の力で勝てるし、勝敗が白黒はっきりしていて性に合っていました。小学校5年生から卓球一本、将来は日本チャンピオンになって、大学生で世界チャンピオンになる、卓球で生活していくという目標をたてていました」
アマチュアとしてはトップクラスの選手となり、実業団に入った。負けん気が強い性格で、会社員としても働きだすと、会社員としても上り詰めたいと思うようになったが、卓球三昧の学生時代を送ったこともあり、ビジネスでは天下をとれないと悟った。
「自分が世界で勝てるのは、卓球しかない、日本で誰よりも早く、一番にプロ宣言をすることが、男としての価値だと思ったんです。プロになるにあたっては『お前バカだなあ』と、ほとんどの人に止められましたが、先駆者利益にかけようと思い、プロ選手になりました」
プロ選手として世界のリーグで武者修行、生の知見を積み上げる
プロ宣言後、日本で活動した後、単身ドイツのブンデスリーガに挑戦する。
「ドイツのブンデスリーガでは、優勝すれば1部リーグに上がれるというので、35勝3敗という成績をあげ、デュッセルドルフのチームから声がかかりました。そして、2シーズン目でヨーロッパのチャンピオンリーグで優勝。
個人戦ですから、勝てないとチームには残れない仕組みで、その後3シーズンドイツに残り4シーズン目からフランスのリーグ、中国のプロリーグでも2シーズン、のべ9シーズン海外で活動したことになります。中国では、オリンピックのチャンピオン選手が同じチームにいる、という貴重な経験をしましたし、世界のリーグをこの目で見て回ったって感じですね」
日本に帰国後、大阪で3年間活動した後、選手生活を終えた。
「海外での経験を通して、帰国したら日本にリーグを作ろうと思っていました。1997年にドイツに行ったときから考え初め、2009年に帰国した時には、プロリーグ構想がありました。本当に実現するのは、簡単にはいかなかったですが…」
日本には40年卓球界を支えてきた実業団があり、Tリーグを設立するといっても、統合できるわけではない。
「実業団の歴史や役割は理解できますが、メダルまで届く選手を育てるには、実業団とTリーグの両輪が必要です。働きながら卓球をする人は実業団で、ラケット一本に賭けようというならプロでという選択肢があることが、選手にとってはいいことだと信じています」
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