筆者は先月、米国東海岸を旅する日々を過ごしました。その間、毎日米株式市場の指数を確認すると、大幅に下落する日々が続きました。昔から何が起こっているのかをチェックするのが日々の習慣となっていますが、その体質からは今回も脱出することが出来ませんでした。
今後は、イランからの原油輸入禁止の効果がどのように表れるのかに注目することになるでしょう。
イタリア財政問題とドイツ政局不安定
現在のイタリア政局は、そもそも前政権公約である「対GDP比0.8%に財政赤字に抑える」という内容を、現コンテ政権があっさりと覆したことに端を発しています。
コンテ政権は緊縮財政政策を覆し、対GDP比2.4%まで拡大し、積極的にあらゆる方面にばらまき財政を施し、景気を良くしようとしました。これに対し、欧州委員会は公約違反と反発しているのです。
公約違反は国の方針としては一貫性がなく、信用を失うことになってしまいます。イタリア国債が10年で4.30%前後にまで上昇していることもあり、今回の件で欧州委員会は、イタリアにレッドカードを突き付けたと言えます。
そして、ドイツの政局不安。
メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は、フランクフルトを抱えるヘッセン州の地方選挙で大きく支持基盤を失いました。ポピュリズムが台頭し、移民政策などに不満が募る結果となったのです。
当のメルケル首相は、今年末開催のCDU党首選挙には出馬しなく、2021年の議員任期が終わるまで首相の任を続けると述べるにとどまっており、来年半ばにも首相の座を譲るとの観測も出ています。
欧州の盟主であるドイツが弱体化してきているということで、特に為替の世界では、ユーロが長期の下落局面にあるのではと筆者は思い描いています。
ドイツの問題は今回だけでは紙面が足らないため、再度考察してみる予定です。
まとめ
リスクが散在する中で、皆さんのポートフォリオ管理にはしっかりとした方針を持っていただきたいです。
損切りすべき商品は損切りを執行する、反対に長期ポジション商品は保有するなど、私自身も方針をしっかりと持ちたいものです。
«記事作成ライター:水谷文雄»
国際金融市場に精通するInvestment Banker。
スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替および金利・債券市場部門で活躍、
外銀を知り尽くす国際金融のプロフェショナル。新興の外国銀行(中国信託商業銀行 )の
東京支店開設準備に参画しディーリング・ルームの開設を手掛ける。
プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、
スペインと日本との文化・経済交流を夢見るロマンティスト。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp
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