文化放送「The News Masters TOKYO」のマスターズインタビュー。 今回は、"誰もが時間を無駄にしないやさしい世界"の実現へとひた走り、空席情報を提供するITベンチャー株式会社バカンの河野剛進社長に、“空き情報”を知ることで私たちの生活はどう変わるのか、タケ小山が聞く。
「空き情報」が分かれば、ストレスフリーが実現する
「バカンのサービスの具体的な事例を教えてください。僕も体験してみたいな」と興味津々のタケ。
最近の導入例として挙がったのは、東京駅に隣接する大丸百貨店東京店だ。
「各階にある喫茶店(カフェ)の空き状況がエントランスのデジタルサイネージで確認することができます。QRコードを読み込むと、離れた場所から情報を得ることもできますよ」
つまり、こういうことだ。これまではフロアごとの喫茶店(カフェ)に空席があるかどうかは、その階まで上がって自分の目で確認する必要があった。行ってみたら満席で、また別の階へ移動するという苦い経験をした人も多いはずだ。ところが、バカンの空席情報サービスが導入されたことでその必要がなくなった。
「一階の入り口で空き状況がわかるから、時間の無駄もないし、何より余計なストレスがかかりません」
さらに、大丸ではトイレの空き状況の提供も併せて行っている。混んでいるトイレで行列をするわずらわしさから解放されるのは、デパートの利用客にとって非常にありがたいことだ。
「そういうサービスをお客さんのために導入しようというデパート側も優しいよね。空港や駅、スタジアムなどにもどんどんそのサービスを入れて欲しいなぁ」とつぶやくタケに、河野社長は「今後、それが当たり前になっていくと信じています」とキッパリ。
「ECやバーチャルの発達で出かけなくても物が買える時代、スポーツ観戦も自宅にいながら臨場感のある疑似体験ができる時代になった。でも、その場所に出かけて行くということやリアルな体験には、やっぱり価値がある。
その体験をいいものにできるかどうかを左右するのが時間の過ごし方。無駄なく、ストレスなく自分の時間を有意義に使えたという実感が大事だし、それをサポートできるのが僕たちバカンの提供するサービスなんです」。
顧客満足度が上がれば、購買行動につながっていく。ウィンウィンの関係が出来上がるというわけだ。
「VACAN」という社名に込めた想い
どんな話題になっても、常に笑顔で、時には大声で笑いながら答えを返してくれる河野さん。
「河野社長、本当に陽気な方ですね!」と、陽気なことなら引けを取らないタケが思わずつぶやいた。
「僕たちの会社は、働き方も自由です。いつ働いても、いつ休んでもいい。僕も平日に子どもの参観日で休みを取ったりしています。だから、変なストレスはないですね」
とはいえ、求められる仕事のレベルは相当厳しそうですが...と問い返すと「うちのメンバーは自分たちが欲しいものを作りたいという想いを共有しているから、それが仕事に対する最大のモチベーションになっています。だから苦しくてもなんとかなるんですよ」と、ここでもまた高らかな笑い声を響かせる河野社長。
自分の時間を大切にしたい、だから他人の時間も大切だ。みんなが自分の時間を大切にできるやさしい世界を作りたい。
「僕たちはこの一点で、強くつながっています」河野さんは自らを「これをしたい!と引っ張るタイプのリーダーではなく、どうしたい?と問いかけるタイプのリーダー」だと自認している。
「大いに議論しながら、一緒にいいものを作っていこうというのが僕たちのスタイルです」
空席情報というビジネスの種を見つけた。「まずはこれをしっかりやりたい」という河野社長。
すでに導入事例のあるレストランやカフェ、トイレだけでなく病院や駐輪場・駐車場、ホテルや駅、鉄道車両などいたるところにニーズがある。
観光地のバスが常に満杯で現地の住民がバスに乗れないというような問題も解決したいし、さらには町全体で人の動きを広域で仕掛けていくというようなことも手掛けていきたい。
バカンの提供する空席サービスが隅々まで行き渡ると、人は多いんだけど混雑や行列が無くなる。
ストレスが無くなって互いに配慮できるような優しい世界がきっと実現する。「覚悟をもってこの事業を始めた。バカン(=VACAN)という名前を社名にしたのも、ここから逃げないという気持ちからです」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26