文化放送「The News Masters TOKYO」のマスターズインタビュー。 今回は、サッカー女子日本代表なでしこジャパンを2011年ワールドカップ優勝に導いた佐々木則夫監督(当時)。 なでしこジャパンをどう世界一に導いたのか、勝てるチームを作るために大切な3つのことについて語ってくれた。 (前編: https://www.insightnow.jp/article/10227 ) 当時を振り返りながら、"世界一になるため"のリーダーシップの在り方をパーソナリティのタケ小山が迫る。
僕はカリスマ的リーダーではない
「僕は決してカリスマ的なリーダーではありません。協調性を大事にしていて、僕一人じゃできないから、みんなで力を合わせてやっていこうよというタイプです」という佐々木さん。
チームスタッフは3つの分野で構成されている。
テクニカル分野、メディカル分野、そして運営分野だ。佐々木さんは、選手の状態を心身共に把握するのにメディカル分野のトレーナーをずいぶん頼りにしたという。
「人事権を持っている人(=監督)に直接意見を言える人は少ない。選手が一番リラックスできるのはメディカルトレーナーから体のケアを受けているとき。そういう時に出る言葉には本音が現れる。それを吸い上げて欲しいとお願いしていました」
これは、選手の状態を正確に把握することに大きく貢献してくれた。結局、一人で何もかもを完璧にはできない。
「みんなで全体を把握する方が、必ずうまくいきます」
また、選手の意見にはちゃんと真摯に耳を傾ける。
「試合中に、選手が僕の指示に反して『私、このポジションに戻った方がいいんじゃないですか』と言ってきたことがある。そのとき、『そうだな、そうしよう』なんて答えたこともありましたよ」とおおらかに笑う。
日頃からちゃんと考えて、意見をしっかり伝えてくれる選手だったので信頼関係ができていたからだ。
さらに、ファンの声もしっかりキャッチする。
「ファンの方それぞれが、いろんな意見を言ってくれる。ひとつひとつの個人の意見を聴くということじゃなくて、僕らに対して意見を言ってくれるということ自体が、どれだけ期待されているかを計るバロメーターなので、反応が大きいのはそれがどんなものであれ、とても嬉しいことなんです」
常にポジティブであれ
人間だから、スランプに陥ることもある。
チームのメンバーがスランプだなと感じた時には、リーダーはどんな声かけをすればいいのだろうか。
「スランプには必ず何らかの要因があるはずです。それをまずは見つけることです」
複数の要因が絡み合っている場合もあるが、そんな場合でもひとつずつほぐして改善していけばいい。
「ほら、ひとつ改善できたね」ということを自信につなげていく。あせりは禁物。
いつまでもミスに気をとらわれているのもよくない。
「リーダーの仕事は、メンバーのポジティブな面に常に目を向けること、そしてメンバー自身の目をポジティブな面に向かせて、前に向かって進めていることに気付かせることです」
現在、佐々木さんはサッカー界のバックヤード的な仕事が多いという。
政府の男女共同参画会議などの議員としても活躍中だ。
「幅広く視野を広げさせていただいている、まさに学びの時期です」。
そんな佐々木さんは、今、こんな夢を描いている。
「日本人女性監督が率いるなでしこジャパンがワールドカップで優勝する!その日を強く願いつつ、楽しみに待っています」
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