CCCとはキャッシュコンバージョンサイクルの略です。 「アップルのCCCが2019年には-97日になる」という記事がありました。今回のこのCCCについて調べてみます。
前回の記事でも触れましたがIt's購買系という情報提供サイトで「アップルのCCCが2019年には-97日になる」という予測記事が取り上げられていました。今回はこれをテーマに。
CCCとはキャッシュコンバージョンサイクルの略で企業の資金回収の能力を示すものです。具体的には売上債権回転日数(DSO)と棚卸資産回転日数(DIS)から買入債務回転日数(DPO)を引いたものになります。
企業の一般的な活動は原材料や仕入れを行い、そのための費用を支払い(買入債務)、製品を製造するための在庫を持ち(棚卸資産)、製品を販売して資金を回収する(売上債権)ので、この期間が短ければ短いほど、運転資金が少なくてすむことになります。つまりCCCは企業の資金循環の期間に基づいて「運転資金調達必要期間」をあらわすのです。
アップルはこの期間がマイナスです。つまり製品を売って現金を回収した後にサプライヤにお金を払っていることになります。
アップルのCCCの予測記事では2014年には-56日だったものが2019年には-97日に改善するという内容です。つまりアップルはお金を支払う97日前に製品販売によるキャッシュを入手している、という恐るべき状況を意味しています。
CCCについてもう少し詳しく調べてみましょう。
CCCはDSOとDISからDPOを引いたものです。アップルの場合この3つがどう変化するのか。DSOは35日(14年)→25日(19年)に減少です。DIOは5.9日(14年)→15.4日(19年)に増加します。(増加と言っても15.4日という非常に少ない在庫資産ですが)DPOは100日(14年)→136日(19年)に大幅に長期化する方向です。
つまりアップルは支払期間を延ばすことでCCCの短縮につなげていることが理解できます。良し悪しはともかくそういうやり方でCCCを短縮化しているのでしょう。
日本企業はどうでしょうか。インターネットで調べてみると日本製造業でのCCCの傾向について分析している資料がありました。これによりますと日本製造業のCCCは1986年の80日から
2015年には110日と長期傾向で長期化が見られます。この内容を3つの要素分解するとDSOはでっこみひっこみはありますが、ほぼ一定です。DIOは期間を通じて約20日程度長期化しています。
DPOは80日から70日に短期化しています。このように傾向的にCCCは短縮するのではなく長期化しているのです。支払期間が短縮化しているのは支払の手形レス化の影響もあるかとも知れません。いずれにしても傾向的にCCCが長期化しているということが特徴的です。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。