文化放送・The News Masters TOKYO『マスターズインタビュー』。 今回のインタビューのお相手は、企業の在庫品などを買い取り、販売する在庫処分サービスの会社・株式会社shoichiの代表取締役社長・山本昌一さん。 在庫処分ビジネスとの出会いは大学時代。そして、山本さん独自の考えで銀行マンと接して、資金集めをしてきた。 そんな山本さんの仕事のこだわりをThe News Masters TOKYOパーソナリティのタケ小山が聞いた。
「買ってあげる」ではなく「買わせてください」
一般消費者の私たちにとって、あまり身近ではない在庫処分ビジネス。
仕事としてこだわっていることも、斜め上をいくものなのだろうかと思い、タケが聞いてみると、こんなシンプルな答えが返ってきた。
山本:
約束を守ることですね。
タケ:
どういうことですか?
在庫処分の仕事は約束を守らない人も多く、例えばナイキからナイキの在庫商品を買い、ナイキストアの横でナイキの正規価格の半分で売ったら儲かるがそれはカッコ悪いし、約束を守っていない。
だが、そういうことをする人がたまにいて、その人たちが在庫処分業界のイメージを著しく下げているのも事実。
そのため、「在庫処分屋はどこに売るか分からないからやめてくれ」と言われることもあるというのだ。
shoichiも20年やってきて不義理をしたことがないとは言えないが、ほとんどない。
約束を守るのは当たり前のことであり、長くやればそれがブランディングになる。
タケ:
良いうわさは広まるのが遅いけど、悪いうわさはすぐに広まります。
山本:
信用を無くすことがもったいないと強く思った方がいいですね。
タケ:
社員に常に言っていることは?
山本:
在庫処分の会社というのは、人様が赤字を切って売ってもらう所なので、「仕入れる時も、売るときも頭を下げろ」と言っています。
決して「買ってあげる」ではなく、「買わせてください」なのだ。
一見、優位な立場にあり「買ってあげる」のイメージがあるかもしれないが、「買わせていただく」と敢えて言う。
そこにはどんな思いがあるのか?
例えば「1000円で売れる!」と意気込んで作った商品が、泣く泣く在庫になり、それを「300円で買ってやる」というのは態度としてあり得ない。
仕入先へのリスペクトが込められているのだ。
目利きのプロは、人の何を見るのか
タケ:
営業マンはどの辺を見ますか?
山本:
営業マンは商品が好きかどうかを見ます。
商品が好きじゃなかったら営業は難しいとも語る山本社長。
お客さんが「土曜日がいい」と言って「土曜日に行かなければならない」と思えるためには、商品に対する愛情が必要不可欠。
山本さんは在庫・商品が大好きだから、いつでも「行きまーーす!」というノリで行けるのだそうだ。
タケ:
社員はどんなところを見ますか?
山本:
正論を言ったときに「はい、わかりました」と言えるかどうかですね。
山本社長もできていないこともあると言うが、年齢が上に行けばいくほど、反論はしたくなるもの。
しかし、それについて「正論なの?」って聞いたら、正論じゃないことが多い。
例えば、「新宿から渋谷まで(特別な理由もなく、電車を使わずに)タクシーに乗った?」と言われたときに、「え!それは...」ってなる。
そういうときにグチャグチャ言わず、「すみません」「乗っちゃったんです」と過ちを認めるのが一番正しい答え。そこに「もうやめろ」で済む。
山本:
そこでグチャグチャ言うと『コイツ、カスやな』ってなります。
山本さんも社長ゆえに思いつきで話をして、部下から以前に言っていたことと違うと指摘される。
その時に「すみません」というが、それが言えなくなったらもう終わりであり、「単なる老害」とも断言する。
正論に対して、「はい」と言えないのは、自分の中にわだかまりがあって、自分のやり方で仕事をしたい人。
自分のやり方で仕事したい人は、会社にそぐわない。
その人のやり方が効率がいいなら、その人のやり方になっていくが、注意してもそのやり方を貫かれたら効率が悪いし、社員が「あれ、通るんだ」ってなる。
加えて従業員から「あ、社長、ゆるいな」って思われる。
そんな山本社長は今後、なにを見据えているのだろうか?
タケ:
今後、目標は?
山本:
日本一の在庫屋になり、在庫を買いつくして、毎日メーカーの人に「山本君、ありがとう」って言われることです。売上高は現在11億、これが20~30億になったら、だいぶ買わせてもらってる。そこは多分行くと思います。
これまでの経緯を包み隠さず話して「在庫を買わせてください」と、このビジネスをスタートした山本社長。
銀行へは融資資金の使い道を細かく報告し、不義理をせず、約束を守ってブランディングして信用を勝ち取り、過ちを犯したら言い訳をせず素直に謝る。
どのエピソードにも一貫して小細工せず、直球勝負で勝ち進んできたことがうかがえる。
これまでのインタビューでは、変化球で勝ち進んだ経営者も多くいて、正直真似するにも難しい人もいたかもしれない。
小細工で行き詰まりを感じたら、このくらい真っすぐに思考を切り替えるのもアリなのかもしれない。
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