前編「ストロー廃止で何が変わる?マイクロプラスチックごみが警告する海洋問題」では、「マイクロプラスチック」と言われる微小のプラごみが海を汚染していることから、ストローを廃止する動きが世界的に広まっていることを取り上げました。 なぜストローばかりが注目されるのかというと、ストローが持つ形状からリサイクルされにくいことや、一部の人を除いてはストローを使用しなくても支障がないからです。 そのため、他のプラスチック製品よりもストローの廃止は着手しやすいようですが、ストローがなくなることで諸問題が露呈し、代替案が検討されるなど、さまざまな動きが出てきました。また、マイクロプラスチックごみが魚だけではなく、サンゴの成長にも悪影響を与えていることもわかってきました。 前編に引き続き、マイクロプラスチックごみにかかわる動きについてお伝えします。
その台湾で最近人気を集めているのが携帯用の「マイストロー」です。ガラス製やステンレス製があり、特に、タピオカミルクティーを飲むのに適した内径11ミリの太めのストローが売り上げを伸ばしているといいます。ストロー専門店では1本200台湾ドル(約720円)前後で購入でき、ストロー専用の洗浄ブラシもあるのだそう。透明なガラス製ストローを使うとタピオカが上がってくるのがよく見え、ステンレス製の場合はジュースの冷たさをより感じることができるのだとか。
規制がある中、「どうしてもタピオカミルクティーをストローで飲みたい」という思いと、環境に配慮する両方の気持ちを叶えることから、「マイストロー」が広がりを見せているのです。
ティファニー社が、金属製のストローを販売!
「マイストロー」の概念はこんなところにもありました。
貴金属や宝石を扱うTiffany&Co.(ティファニー社)では、「クレイジー ストロー」というシリーズで、2017年11月から金属製のストローを販売しています。上部が蛇腹状に一回転した形状のスターリングシルバー製で、金や銀などのメッキ加工により色が違い、価格は3万8340円から5万3460円(税込)です。
また、米国のクラウドファンディングサイトで、折り畳み式で携帯可能な金属製ストローを開発する資金を募集したところ、約189万ドル(約2億円)の資金が集まり、現在開発中だといいます。
今後はプラスチック製ストローが飲食店から姿を消し、「マイストロー」を持ち歩く日がくるのでしょうか。
生分解性プラスチックなどの研究が進む
もともとは麦わら(straw)だったストロー。便利なプラスチック製から、このように紙製やガラス製、ステンレス製などにシフトしていますが、プラスチックそのものの素材を微生物で分解することが可能な「生分解性プラスチック」の研究も進められています。「プラスチックを使いながらゴミを出さない技術」です。
群馬大学の粕谷健一教授は、土の中にいる「バチルス」という特殊な細菌を眠らせた状態にして、プラスチックに閉じ込める方法を研究しています。これは、通常のプラスチックとして利用した後、廃棄する際に傷をつけることで空気や水がいきわたって活性化を始め、プラスチックを分解していくしくみ。現段階ではコストが5倍以上かかるという課題がありますが、2年後の実用化を目指しているそうです。
また、ベンチャー企業のTBMは、海や土の中で自然に分解されるプラスチックを開発中です。サトウキビなどの植物から作る樹脂・ポリ乳酸と石灰を混ぜて作ることで、低コストの生産が可能になったのだそう。現在は、この新素材を使った食器や食品用の容器を製品化するために、試作品を作成しているといいます。
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