2回にわたって「カーシェアリングが急成長する理由と、車を取り巻く変化」「急成長するカーシェアリングに大手自動車メーカー参入。気になるデメリットは?」と銘打ち、カーシェアリング急成長の現状と理由について解説してきたが、その勢いは衰えることなく、いよいよ外国車メーカーの動きにも現れ始めている。 というのも最近、ドイツ車の名門メルセデスやアウディがこぞってカーシェアリングへの参入を発表していることをご存じだろうか。そう! 時代は変化し、一部の富裕層だけがハンドルを握れる特権を握っていた(?)あこがれの外車に、誰もが気軽に乗れる時代がやってきそうなのだ。
アウディジャパンの斎藤徹社長は以下のようにコメントしている。
「東京のように大きな都市では過密化が進み、渋滞もひどい、また毎日車に乗るわけでもない。そういう意味では、車を所有する理由が希薄になっているのです。これからは“所有”から“利用”という時代に変わっていくと思います。メーカーとしても、そうした潮流に応えていかなければならない」
つまりは、自動車メーカー自身が、カーシェアリング時代の到来を認めているということになる。
カーシェアリング市場が急拡大するドイツ6都市
日本で続々、カーシェアリングを始めた外国自動車メーカー。では、本国ではどんな動きになっているのだろうか。
米国やオーストラリアなどの広大な国土をもつ国ではマイカー所有率がまだ高い。しかし、英国、韓国をはじめ、ベルリンをはじめとするドイツ6都市圏では、カーシェアリング熱が一気に高まっている。
特にドイツでの傾向は顕著で、従来は決められた場所(ステーション)で車を借りて、借りたステーションに返却するという日本でもおなじみの形態だったが、いま新たな形態のカーシェアリングが登場しており、それによって利用者はすでに100万人を突破。利用者の急増に伴い車両数、企業数も増加しており、2020年までには、カーシェアリング利用者が現状の倍の200万人に増大すると見込まれている。
その新しい形態のカーシェアリングをリードしているのが、ドイツの三大自動車メーカー、ダイムラー、BMW、フォルクスワーゲンなのだ。例えば、BMWとレンタカー・リース大手のシクストが創設したカーシェアリングの合弁会社「DriveNow」では、「半径500m以内で車が見つかる」という利便性を前面に打ち出している。そのサービス内容を簡単にまとめると、
●台数が多いので、すぐに乗りたい車がみつかる
●決まったステーションはない
●乗りたい必要性が生じた時、パソコンやスマートフォンで近くの車を探す
●使用後は市内の路上駐車帯や公営駐車場に乗り捨てることができる
この新システムが短期間で爆発的に市民に浸透した理由は、
「安い、使いやすい、エコ、環境によい」といった利用者側の便利さ……、
都市行政が掲げる交通政策の一環に民間のカーシェアリングが活用された……
この2つの利点が挙げられる。
爆発的な勢いでマーケットが成熟し、カーシェアリングが新形態の「公共交通」として定着しつつあるベルリン。そんなベルリンでカーシェアリングを利用した人を対象にアンケートを実施したところ、
「自家用車を売り払い、今後はカーシェアリングのみを利用する」
そんな回答が予想をうわまわる割合で得られているという報告もなされている。
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