2011年の民政移管以降、外国企業の進出が急増する中、日本の支援によって国内初の株式市場「ヤンゴン証券取引所(YSX)」が開設されたミャンマー。 今年(2018年)8月1日には、外資参入の規制緩和と外国人の株式売買を解禁する新会社法が施行され、ミャンマー経済は本格的な近代化・グローバル化に向かって動き出そうとしている。ヤンゴン証券取引所での株式取引が始まって2年半、国内の株式市場はまだまだ未成熟で低迷しているが、果たして今回の新法施行が市場活性化の追い風となるのか……。ミャンマー経済の指標となるヤンゴン証券取引所の市場環境と今後の展望にフォーカスする。
まずは上場銘柄数・投資家数ともに3倍増を目指す
新会社法の施行を受けて、YSXの市場環境にも少しずつ明るい兆しが出てきている。年内には上場企業が現在の5社から8社に増え、水力発電・物流・運輸系企業3社の上場が予定されているという。ミャンマーの各証券会社でも、この8月から居住外国人向けの取引を開始し、新規顧客となる外国人投資家の取り込みに力を入れているようだ。YSXの運営に携わる原田政治取締役も、「この先1~2年で上場銘柄数・投資家数ともに現在の3倍を目指す」と意気込む。
一方で、事態はそううまく運ばないという見方もある。銀行の預金利息が高率な(年7~8%)ミャンマーでは「株投資より預金」という考え方が根強く、富裕な資産家は土地や金などの現物に投資する傾向が強い。また、為替リスクと隣り合わせの外国人投資家にとっては、現地通貨チャットの下落が不安材料だ。現在1ドル=1350チャット前後で堅調に推移しているものの、輸入緩和による巨額の貿易赤字から見ると、今後は1ドル=2000チャットまで下落する可能性も指摘されている。
いずれにしても、取引開始からまだ2年半のYSXは「発展途上の種まき期」にあり、期待のかかる新会社法も施行されたばかりだ。今では世界的な証券取引所となったタイですら、当初は長く株価が低迷したことを考えると、ここで市場の飛躍的な成長を求めるのは時期尚早といえるだろう。
アジアのラストフロンティアと称されるミャンマーの株式市場が、今後どのような経緯をたどり、近代国家への歩みとともに成熟していくのか……まずは、じっくりと見守っていきたいところだ。
※参考/朝日新聞、日本経済新聞、金融庁HP
≪記事作成ライター:菱沼真理奈≫
約20年にわたり、企業広告・商品広告のコピーや、女性誌・ビジネス誌などのライティングを手がけています。金融・教育・行政・ビジネス関連の堅い記事から、グルメ・カルチャー・ファッション関連の柔らかい記事まで、オールマイティな対応力が自慢です! 座右の銘は「ありがとうの心を大切に」。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
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【転載元】
リーダーズオンライン(専門家による経営者のための情報サイト)
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