米国不動産投資考察-③

2018.08.23

経営・マネジメント

米国不動産投資考察-③

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南青山リーダーズ株式会社

米国不動産投資考察の第三弾レポートです。今回は米国不動産の特徴を考察したいと思います。一般的住宅、商業不動産と産業用施設、そしてヘルスケア施設について考察します。

歴史的経済の変遷を振り返ると、心理的な面でも日本と米国の不動産に対する考え方に大きな違いがあると感じます。
米国は第二次世界大戦後のダウ平均株価を見ても、右肩上がりと株価指数となっています。また、不動産価格もその動きに似た動きになっており、その価値は下がることなく、投資対象として優良な商品として認識されているようです。
しかし、日本では、1980年代のバブルに沸き踊ったその後、バブル崩壊を経験しています。その結果、「不動産は大きく資産価値を上げることはない」という神話が根付いてしまったようです。その神話に変化が出てきたのは、バブル崩壊の後遺症から立ち直りつつあった21世紀に入ってからではないかと推察されます。

商業不動産と産業用施設

クラウドファンディング,ソーシャルレンディング,マネセツ
前段でも説明した通り、米国経済は第二次世界大戦後、曲がりなりにも右肩上がりの成長を続けました。その結果、米国人の消費は収縮することなく需要が継続して沸き上がり、スーパーマーケットなどの商業施設やオフィスビルなどの需要も衰えることなく、建設されることになりました。
このことを受け、その資金を調達する手段も金融市場で工夫されることになります。これはいわゆる「証券化」という金融手法で、投資家から資金調達し、施設建設費用に充てるという手段です。これによって、投資家に返還する利回り、つまりキャップレートという考え方が定着することになったのです。このような金融手法が編み出されたことが、ある面で、商業用施設と産業用施設を建設する需要を呼び起こしたと言えるでしょう。
このような歴史をたどることによって、米国では、アセットマネジメントという不動産の価値自体を引き上げる分野と、プロパティマネジメントという施設のメンテナンスを維持する分野が、商業用と産業用不動産の建設で発達することになります。その流れは、SPC(特別目的会社)を創設して本体から切り離して、独立した法人として当該不動産を管理する運営方向が編み出されることにつながり、現在に至ったと言えます。

ヘルスケア施設

米国不動産市場は、先ほど触れた証券化手法が編み出されたことにより、商業用、産業用施設中心の証券化を経て、ヘルスケア施設への証券化が進んできています。
近年では、病院、介護施設、老人ホームなど、様々なヘルスケア施設に証券化が導入されています。極端な例では、刑務所でも証券化が導入されているそうです。
証券化が進むと、投資家は利回り、つまりキャップレートを、商業用不動産と同様に考えることになります。病院、介護施設、老人ホームは、高齢化社会になり、需要が旺盛です。その結果、病院の稼働率は高く、これら施設の空室率はこの先、かなり低い水準を維持することが予想されます。このことからも、ヘルスケア施設部門は投資利回りとしては安定的に推移するのではないかと思われます。

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