次から次へと現れるスポーツ界のハラスメント。 一般社会がこれだけコンプライアンスにうるさくなっているにも関わらず、悪質タックルに始まり、レスリング協会、ボクシング協会、チアリーディングや体操と、とどまるところを知りません。当初一部のだめな大学や組織の、一部の不心得な人物たちの暴走による特別な事件かと思いきや、次から次へと現れる新キャラも注目を集め、打ち止め感は全く見えない状況です。 スポーツ界だけが腐っているのか?それともそもそも私たちの一般社会の中に、ハラスメントを生む種があるのか?それどころかハラスメントを喜ぶ原因がないでしょうか?
悪代官の所業こそ正にハラスメントそのものです。悪代官のいない平和な村や町では、いくら水戸黄門一行がぐるぐる周回しても何もドラマは起きません。人の不幸や悲惨な境遇こそが最高のスパイスであるという、きわめて罪深い感性を、われわれは元から持っているというべきでしょう。
3.ハラスメント対策でやるべきこと
人事・組織コンサルティングが私の本業ですが、ここ最近の仕事の多くがハラスメント対策です。企業や官公庁など大きな組織からの依頼で、各所でハラスメント研修を行っています。
現場から必ず聞かれる「どこまでがハラスメントか」「ハラスメントの線引き」について、高校野球も水戸黄門も、非常にわかりやすい事例として説明に使います。悪代官は最後に成敗されてしまいます。そして高校野球だけでなく、アマチュアスポーツ界は、今、ハラスメント告発の嵐にさらされています。
アメリカンフットボール、レスリング、ボクシングにとどまらず、今でも次々告発は続いています。糾弾され組織を追われた元指導者の人たちは、ハラスメントと指導の線引きを理解していませんでした。しかしそれはその指導者個人のことではなく、その周囲の環境全体が後押ししていたはずです。
ハラスメント対策はこれは〇、これは×と、いちいち事例を挙げて判断を伝えることではなく、そもそもハラスメントとなる境目がなんであるかを認識させることにあると信じます。人に言われてハラスメントだと理解するようでは全く問題解決になりません。
スポーツ指導者の糾弾はまだまだ続くでしょう。その先にある牙城は甲子園球場なのかも知れません。
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2019.01.24
2019.01.30
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。