米金利上昇で新興国の悲鳴が聞こえてくる

2018.08.02

経営・マネジメント

米金利上昇で新興国の悲鳴が聞こえてくる

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米国が世界経済の中で一人勝ちのように筆者には映ります。米国は経済成長率つまり直近第2四半期GDP(国内総生産)速報値4.1%前期比年率と非常に良い数字です。

トルコの場合


こちらも変動の激しい金利、そして為替相場となっています。そもそもトルコ金融危機は、エルドアン大統領の独裁体制が起因しているのではと思います。
6月の大統領選挙で支持基盤政党が過半数を獲得し、エルドアン大統領に政治経済で絶大な影響力を行使できる環境が整ってしまったことです。中央銀行の金融政策に対しても影響力を行使できることを察した投資家の間にはトルコから資金を引き揚げる行動をしているようです。
こちらは、米金利高の影響はアルゼンチンほどではないものの、ドル高の影響が色濃く出ています。為替を見ると、昨年7月時点では、1ドル=3.6トルコリラで推移していましたが、現在5トルコリラ近辺で推移しています。
下記グラフ(出所:ウォールストリートジャーナル紙)をご覧ください。2011年から2018年までの金利、インフレの動きを示しています。今年に入って市中金利とインフレ率は急上昇の流れになっています。
昨年までのインフレ率は概ね8~10%の範囲内で推移していました。インフレ率は昨年12月12%でしたが、今年6月には15.4%になっています。その結果トルコ中央銀行の政策金利は現在17.75%となっています。
経済の動きは、GDPが昨年概ね5~8%の範囲内で推移しています。直近では今年第1四半期7.4%(前年比)と堅調な推移となっています。エルドアン大統領の独裁的な政権運営から今後、投資家の資金の引き揚げ、その結果経済の悪化につながる可能性は否定できません。


まとめ


アルゼンチンとトルコの経済、金利そして為替動向を見てきましたが、皆さんどのようにお感じになったことでしょうか?このような国の金融商品、つまり債券、株式、そして為替には躊躇するという方も多いのではと思います。筆者は躊躇します。
しかし逆に言えば、ハイリスク、ハイリターンとも言えます。長い目で見れば、目を見張るパフォーマンスになっているのかもしれません。債券で言えば、償還期間まで保有すれば、高利回りを享受できるかもしれません。現在が金利のピーク、そして将来下げを加速する。債券価格上昇の結果になるのかもしれません。そして債券投資には為替リスクが出てきます。
筆者は、一般的には新興国の経済は今後も上昇することが期待できるのではないかと思います。分析が肝要となります。過去の経済成長率、金利の動き(30年くらい単位)で見て、今後どのような動きになるか、債券保有期間の先の動きを想像してみましょう。
そして、政治体制も調べてみる必要があります。アルゼンチンでは政変が良く起こる歴史があります。そしてトルコではエルドアン政権が今後どのように推移するのか調べてみる必要があります。
そして国民性についても。理想的には、皆さんがその国に実際に出かけて見て、肌で感じることが一番ではないかと思います。その国の人たちと接して、その国をどのように感じているのか、将来に対して楽観的なのか、悲観的なのか。そして国に活気があるのかを実際に感じて投資に活かしたいものです。

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