文化放送「The News Masters TOKYO」のマスターズインタビュー、今回はイーグルバス社長の谷島賢さん。 観光・送迎バス事業を運営してきた当時、赤字の路線バス事業を引き継いだが、利益の生まれ方や人材面などさまざまな課題に直面。 1から始めようと取り出した運行情報のデータから、年々利用者が減っている現状をどう打破していくかを聞いた。 そして、谷島氏が掲げる「創客」に込められた想いとは? バス業界のイメージを覆す発想と視点にパーソナリティのタケ小山が迫る。
ハブ&スポークと地域構想
「ハブ&スポークというのは、貨物なんですね。これを実際、お客さん全員に乗り換えてくれなんてなかなかできないですよね。首長さんのリーダーシップですよね。これがなければできなかった。私たちはそれをやらせていただいた。非常にいい経験ができたと思います」と、当時のことを振り返る。
「固定費的にはハブ化してしまった方がコストが上がるんですか?」と聞くタケ。
「例えば、ときがわ(埼玉県)のハブは乗り換え用のハブです。バスが着いてからあまり時間をかけないで乗り換えさせようとすると、それなりの台数って必要ですよね」
最初に実施したのは、単純に乗り換え用のハブだった。しかし、わざわざ乗り換えてもらう意味と、バスの台数(コスト)を考えた結果、東秩父村(埼玉県)のハブ&スポークが生まれた。
「埼玉県の東秩父村というところでやらせていただいたのは、このハブにいろんな施設機能を入れてしまうということです。今、日本の過疎の村や街は商業集積がどんどん希薄になっています。そうすると住んでいる人は外に買い物に行かなければなりません。
そのため、そこに施設とか、あるいは観光客のための案内所とか、行政のサービス、こういったものを作ってそこにバスのハブも入れる。そうするとそこにみんなも集まるようになります」
このように谷島氏は、地域に賑わいを作り、これを「小さな拠点」構想と呼んだ。
「実は東秩父村のハブは4台から3台に削減しているんです。それで同じ輸送量を維持しています」
まさに、固定費(輸送料)を一定のまま人数をあげることで、実際にバス1台分(25%)ほどコストを削減することに成功したのだ。
こうして町の観光地化を目指した結果、今ではたくさんの外国人が来るようになったという。
「まず観光客には川越を楽しんでいただきます。夜になると川越から京都、大阪まで高速深夜バスが発車しています。すると、例えば、昼間外国人の方が江戸を楽しんで、夜そのバスに乗って、次の朝は京都なんですよ。その間、宿泊費も時間も実は削減できると」
谷島氏が次に着目したのは、ときがわや東秩父村の自然だった。
「秩父も凄いよなあ」とタケ。
「観光客は、日本の歴史とか美味しいものだけでなく、自然とか体験がしたいんですよね」
このような観光客の需要に対して、東秩父村は和紙の里で、日本の和紙を体験することができるのだ。
さらに、「日本の風景、日本の自然、これはまた特別なんです。紅葉の時にはハイキング、あるいは自転車に乗ってもらう。こういうものも、必ず地域づくりには役立つと思っているんですね。それができるといいなと思っています」と熱く語った。
事業定義が "地域を結ぶ、人を結ぶ、心を結ぶ事業"に変わったという。
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