低金利が続く日本。低金利どころか「マイナス金利」の文字が紙上を躍る昨今、個人の資産運用についてもさまざまな投資スタイルが模索されています。 膨らみ続ける赤字国債への不安、少子高齢化なる構造的問題もあり、国内から国外へ投資の目を向け始める人はますます増えています。 2000年代ごろから始まった日本人の海外不動産投資も、こうした流れのひとつ。まだ歴史は浅いものの、資産の分散投資の広がりによって、特別な人だけのものではなくなっているようです。 とはいえ、分からないことだらけの海外不動産投資。“イチ”から学ぶために、まずその歴史から調べてみました。
不動産価格高騰後、一時期の過熱ぶりはひと段落
しかし、不動産価格が高騰し、住宅がマレーシア国民の手の届かないようになった現状を懸念した政府は、2014年に「100万リンギット(約3000万円)以上の物件でなければ、外国人は購入できない」という規制を設けました。それ以降、以前は簡単に取得できた長期滞在ビザも、一定金額以上の財産証明が必要になるなどハードルが上がっています。住宅価格は年5%で緩やかに上昇している人気のマレーシアですが、こうした規制により一時期の過熱ぶりはひと段落しています。
政治経済的にみると、2016年に起きた原油安に端を発したリンギット安による経済の不安定感や、インフレ率の上昇などの問題もあります。とくにインフレ率の抑制がマレーシア経済の発展とリンギットの上昇には欠かせないため、その推移を注視していく必要がありそうです。
ASEAN諸国の中で大人気のフィリピンは、人口ボーナス期に突入
マレーシアをはじめとするいくつかのASEAN諸国(東南アジア諸国連合)で不動産投資が人気なのは、かつての日本の高度経済成長期のように、高い経済成長と人口増加が見込め、将来的な不動産価格上昇による大きなキャピタルゲインまたは高いインカムゲインが期待できるからにほかなりません。
現在ASEAN諸国のなかでも、特に人気が高いのがフィリピンです。
フィリピンの人口は1億人を突破。平均年齢は23歳と若く、国連中位推計によれば人口増加は2091年まで続くと予測されています。
人口ボーナス期の入り口に入ったところで、実質GDP成長率も約6%で堅調に伸びています。ちなみにフィリピンではマレーシアのような規制がないため1000万円前後の物件の投資も可能で、相対的に手の届きやすい投資物件が多いといえます。不動産投資先としては魅力的であり、成功すれば高利回りの安定収益を生む物件を手に入れる可能性もあります。
中長期的に住宅需要は衰えることがないと思われていますが、建設ブームに沸く首都マニラでは、投資用に適した1000万円程度の物件が供給過多になっているとの声も聞かれ始めています。人気の地でも物件選びには慎重になる必要があるでしょう。
── これから成長する国で格安に不動産を購入し、値上がりを期待するのが新興国投資といえます。成功例も失敗例もさまざまな要因がありますが、歴史が教えてくれるのは、新興国投資において購入のタイミングの見極めは不可欠であり、国の事情に精通していることや自分でさまざまな角度から下調べすることがとても重要だという点です。経済成長や人口増加メリットもさることながら、その国の政治状況や地政学的リスクなども加味して考えていくことが、いつの世も大切であることに変わりはないでしょう。
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