文化放送The News Masters TOKYO「マスターズインタビュー」。 今回のインタビューのお相手は、お酒の販売・配達でおなじみ「なんでも酒やカクヤス」を運営する株式会社カクヤス代表取締役社長・佐藤順一さん。 佐藤さんの社長就任は34歳、バブル絶頂期だったそう。 当時の会社の年商は30億円ほど。しかし、バブル崩壊を受けてお酒関連市場は右肩下がりに。 そんな中、どうやって現在の年商1000億円に持っていったのだろうか…。
売り手の都合をすべて排除「1本から行きます」
お酒が大好きで酒屋さんの「優良顧客」というタケ小山は、まずは「どうやってここまで会社を大きくしたのか?ほかの酒屋と何が違ったのか?」という素朴な疑問をぶつけた。
佐藤さんは、当時の状況の説明から丁寧に話し始めた。
「実は、お酒のマーケットは1996年頃をピークにして縮小に転じてしまう。そんな中、酒類販売免許の規制緩和が決まることに。市場が縮小しているにも関わらず、自由化をするということを国が決めてしまった。
従来は、既存の免許のある酒屋さんと戦うだけでよかったが2003年の9月以降は、どこでも参入できるようになり、誰が入ってくるのかわからなくなった。
今までは、いくらでも金を使ってシェアを取れというシェア争いの時代。取引相手との販促費を目当てにして経営を成り立たせていた。その販促費がいずれ出なくなる。今までずっとやってきた安売り商法がダメと言われ、なおかつ、とてつもなく強い相手と戦いなさい、ということ。
そこで、価格以外で選ばれるものはないのか?と考えた結果が...『お届け』を磨く!ということ」と、佐藤さんの自信満々な回答にタケは戸惑った。
「お届けを磨くとは、具体的にどういうこと?」というタケの質問に佐藤さんは明快に答えた。
当時のお届けは翌日が一番早かった。しかし、「頑張れば2時間以内に届けられるのでは?」と。
また、お届けのモデルには必ずロットがある。いくら以上買わないと無料にならないというもの。
しかし、それは売り手の都合。そこで、売り手の都合を全て排除し、『1本から行きます』と明確に宣言をした。
更に、エリアのしばりを設けない。どうしても手に入れたかったキーワード、それが『どこでも行く』。
実際には、日本全国どこでも...は、さすがに無理。
しかし、東京23区全部をこのモデルでくくってしまえば、『23区どこでも』と言える。
「『どこでも』というキーワードが手に入る。そこで、23区全部に店を出しにいこうとなった。逆に、何店舗出せば全部埋まるのか。『どこでも』が実現するのか。はじき出した答えは137店舗!住宅のないところなどを除けば必要なのは110店舗だった」と、佐藤さんは細かく説明してくれた。
店舗を増やすといっても簡単にできることではない。
2000年に28店舗程だった「カクヤス」が、2003年9月の自由化までに80店舗以上の出店を目指し、「23区どこでも、1本から無料で、2時間でお届けします」というお届けモデルが、出来上がるか出来上がらないかが勝負の分かれ目だと、佐藤さんは考えたのだ。
結果、2003年9月までに120店舗弱を達成し、なんとかこのサービスを提供したという。
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