「時間を売る」ビジネスは色々ありますが「時間を買う」という視点を経営者やバイヤーは持つべきである
ちょっと前のメルマガで坂口孝則さんの
「牛丼一杯の儲けは9円」
~「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学~(幻冬舎新書)
を皆さんに紹介しました。
この本の中でとても面白い「コスト削減活動」の事例が取上げられています。
それは「時間差を利用する」というものです。
内容は
「グローバルにビジネスを展開している外資系産業機器メーカーが、
客先に持参する商品資料の日本語訳を特急で対応しなくてはならない。
特急の翻訳を外注すると料金がべらぼうにかかってしまう。
そのためインターネットを通じて地球の裏側(アメリカ、南米)の同僚に
助けをもとめ、日本が夜のうちに翻訳をしてもらい、
朝出社した時には資料がメールボックスに届いている」
というものです。
それにより“客先の突発的な要求に翻訳会社に支払うより
安いコストでスピーディな対応が可能になった”とのことです。
近年、インターネットの普及に伴い「スピード」があらゆるビジネスで
重視されているのは言うまでもありません。
このような時代になっていますが伝統的な購買・調達業務では、ややもすると
この「時間を買う」という観点が忘れられがちかもしれません。
例えばサプライヤを選定する際に納期(DELIVERY)という軸があっても、
時間(SPEED)という項目を評価軸に加えているバイヤーは多くないでしょう。
また他方で時間が一番の制約条件になるような案件もあります。
例えばITシステム導入の「2000年問題対応」等は、
とにかく「時間」を守ることが一番の要件になります。
このような「時間」との勝負を求められる購買案件はともかく、
多くのケースで「時間」の評価は
例えば「コスト(C)」に比較して低いことが挙げられます。
と、色々考えながら、ある日会社近隣の人気のある中華料理屋に
昼食を取りにいきました。
そのお店は美味しく雰囲気も良いので、いつ行っても混雑しています。
特に女性のグループ客が多い。
そのため、私はいつも時間をずらし、待たなくてもよい時間に行きます。
また人一倍食べるのが早い私は、お店に着いてからオーダーして、
料理が出され、食べて、会計して、お店を出るまで約15分の所要時間です。
要するにお店にしてみれば、すごく良い上客なわけです。
女性のグループ客の場合、だいたい12時位にお店に入り、
ゆっくり食事とおしゃべりをして、1時ちょっと前までお店にいる。
滞在時間約1時間です。それに対して私は滞在時間約15分。
それで支払うのは同じ料金です。
お店側としても「食べ終わったら早く帰ってください」とは
言いにくいものです。
でしたら例えば「30分以内に帰るお客さんは料金を100円割引する」
とかいう商売も成り立つと思うのですが、
あまりそういうシステムを見かけたことはありません。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。