2017年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比13.2%増のけっこうな伸び率と見える。 しかし、果たしてそうなのだろうか。
eラーニング市場は順調に成長
BtoB、BtoCにかかわらず、国内eラーニング市場規模は拡大しているという。矢野経済研究所の調査結果によれば、2017年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比13.2%増の2,000億円を見込むという。その内訳は法人向け(企業・団体内個人を含む)のBtoB市場規模が同3.9%増の620億円、個人向けのBtoC市場規模が同17.9%増の1,380億円であり、前年度に続き両市場ともに拡大見込み、だという。
さらに、2018年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比3.6%増の2,071億円を予測している。その理由として、BtoB市場は良好な雇用環境を背景とする顧客企業の人材育成投資の活発化によって、堅調推移を継続させる、らしい。
(矢野経済研究所のリリースより)
この数字だけ見ると、いよいよ日本でも教育のICT化が本格化してきたかと思えるし、ほかの業種と比べても、けっこうな伸び率と見える。
EdTechの出現
しかし、果たしてそうなのだろうか。
昨年あたりから、EdTech(教育:Educationと技術:Technologyの頭文字を組み合わせた言葉)と称し、教育にデジタルテクノロジーを活用し、イノベーションを起こそうとする動きが活発化している。
なんと本家アメリカでは、そのEdTech 市場は、2022年時点では400億ドルを超える市場規模になると予想されているという。
もちろん、eラーニングとEdTechでは、概念が違うし、カバーする範囲もかなり違うだろうから、単純な市場規模比較はできないが、なぜこうも違うのかと単純な疑問が起きる。
もともとeラーニングは、PCやインターネットを使った学習のことであり、別の呼び名としては、CBT(Computer-Based Training)や WBT(Web-Based Training)などと言われたこともある。なので、どちらかといえば、通信教育がネットとPCに置き換わったぐらいの感覚であった。(カタログ通販がネット通販に置き換わっていったことと似ている)
しかし、eコマースが、これまでの通販の概念を大きく超えるほど発展してきたように、教育に活用できるデジタルテクノロジーは、eラーニングが出現したときとは大きく異なっている。
まず、モバイルの発展だ。電車に乗れば、全員がスマホをいじっている光景はもはや珍しいことではなく、子どもから高齢者まで、カバー範囲は広い。画面サイズや解像度に問題がなくなった現在のクオリティを考えれば、むしろ、応用範囲も広く、集合研修や通信教育では不可能だったことでも、モバイルなら実現できることも多い。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2010.03.20
2008.09.26