内定取消しの理由と不当な取消しを受けた場合の対処法

2018.05.07

経営・マネジメント

内定取消しの理由と不当な取消しを受けた場合の対処法

労働問題の解決に役立つ法律メディア 労働問題弁護士ナビ編集部
株式会社アシロ

内定取消しには正当な理由のあるものと、不当な理由で取り消されるケースの両方が考えられますが、もし不当に内定を取り消された場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?今回は、内定の取消しにあう主な理由、取り消された場合の裁判例と対処法をご紹介します。

被告の代表者が、具体的に確定した雇用条件で原告を採用する旨の意思表示をした時点をもって、本件労働契約が成立したと認められるところ、被告は、本件労働契約が成立しているにもかかわらず、原告に対し、原告の就業開始日翌日に、突然、採用を取り消す旨の意思表示をしました。

また、その点につき何ら合理性のある理由を説明していないから、違法な採用内定の取消しを行ったというべきであるとして、132万7,800円の支払いが命じられた。

裁判年月日 平成24年 7月30日

裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決

事件番号 平23(ワ)38272号

事件名 World LSK事件

裁判結果 一部認容、一部棄却

文献番号 2012WLJPCA07308001

その他:損害賠償請求が伴った裁判

【事件名】コーセーアールイー事件

控訴人から採用の内々定を得ていた被控訴人が、内定通知書授与日の直前に内々定の取消しを受けたことについて損害賠償を請求した事例。

判決:被告は,原告に対し,110万円及びこれに対する平成20年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

裁判年月日 平成23年 3月10日

裁判所名 福岡高裁 裁判区分 判決

事件番号 平22(ネ)664号 ・ 平22(ネ)883号

事件名 損害賠償請求控訴事件、同付帯控訴事件〔内々定取り消し訴訟・控訴審〕

裁判結果 原判決変更、附帯控訴棄却 上訴等 確定

文献番号 2011WLJPCA03106001

新卒者が知っておくべき内定に対する厚生労働省の取り組み

求職者には以外と知られていませんが、新規学校卒業者、いわゆる「新卒者」には、厚生労働省から、「新規学校卒業者の採用内定取消し・入職時期繰下げ等への対応について」という政策があり、ある程度の保護施策が実施されていますので、参考にしていいただければと思います。

新規学校卒業者(新卒者)に対して

内定取消をされた学生に対して、ハローワークの紹介

  1. 採用内定取消しの通知を受けた場合や、内定辞退を強要された場合の対応についてのアドバイス
  2. 入職時期繰下げ(自宅待機・入社日の延期など)の通知を受けた場合の対応についてのアドバイス
  3. 全国の学卒求人情報の提供、職業紹介など、就職活動のサポート

上記のサポート等を実施しています。

適正な募集・採用計画の立案採用を行う事業主に対して

・事業主は、募集人数の決定にあたり、「若干名」「◯◯人以内」等の不明確な表現、実際の採用人数を超えた募集等は避け、採用人数を明確にするよう努める。

次のページ内定取消しについて

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