内定取消しには正当な理由のあるものと、不当な理由で取り消されるケースの両方が考えられますが、もし不当に内定を取り消された場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?今回は、内定の取消しにあう主な理由、取り消された場合の裁判例と対処法をご紹介します。
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内定者が、内定後に病気や怪我をしたことによって正常な勤務ができなくなった場合
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内定後の調査により、内定者が申告していた経歴や学歴の重要部分に虚偽があったことが判明した場合
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内定者が、大学を卒業できなかった場合
上記のとおり、内定後の予測の範囲を超える経営悪化は内定取消しの理由たり得ます。
もっとも、このような正当な理由がある場合であっても内定者に対して十分な期間を持って説明を行うなどの配慮は必要と考えられており、例えばまた、入社日の2週間前になり突然、経営悪化を理由に突然内定を取り消す行為は内定者への配慮を欠くものとして損害賠償の対象となる可能性があります。
内定取消しとは「解雇」と同じ扱い
企業が採用内定を通知してから、実際に働き始める前に、これを取り消す「内定取消し」は、会社から一方的に関係を破棄されるという意味においては「解雇」と同様です。
労働者側は、内定が出ればその企業に入ることを前提に求職活動を中止したり前職を退職するなどの準備を行うため、突然の内定取消しは労働者の人生プランを破壊する行為と言えます。
求職者が知らない内定の定義
内定をもらっただけでは、会社側と雇用契約が結ばれていないと考えている方がほとんどでしょう。しかし、実は企業が求職者に対して内定を出した時点で、雇用契約が成立したものと考えられます。
法的に具体的にいうと、求職者が応募することが「雇用契約の申し込み」に該当し、それに対して内定を出すということは、この申込に対して承諾したものと評価されます。
※もっとも、通常の雇用契約と同じではなく、始期付解約権留保付の雇用契約と考えられています。
したがって、会社が一方的な内定取消しをする行為は、法的にも「雇用契約の解約=解雇」になる訳です。
企業によって「内定」と「内々定」の定義が違う
企業によっては、内定前に「内々定」が行われることがあります。
内々定の方式はケースバイケースでしょうが、例えば採用担当者から「採用はほぼ決まりである」とか「採用するので追って正式通知を送る」等の連絡や通知を受けた場合がこれに該当すると思われます。
このような内々定は、雇用契約締結を承諾する旨の意思表示(すなわち内定の意思表示)とは評価されない場合が多いといわれています。
法律的には、内定はあくまで正式に内定手続きを行った場合を意味し、その準備段階や前段階では雇用契約締結のための承諾行為は行われていないという考え方が一般的です。
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