2015年9月2日の日本経済新聞と日経MJにファーストリテイリングとマクドナルドの新たな動きに関する記事が掲載された。短期的とはいえ、傘下のユニクロの業績不振が昨今伝えられたファーストリテイリングと、長きに渡る泥沼状態から抜け出られないマクドナルド。だが筆者は「どちらも復活にはつながらない」と感じた。その理由は「不振の本質を突いていないから」だ。
タイム誌が選んだ「20世紀の3代広告人」の1人である、レスター・ワンダーマンは、「成功するすべての会社が知っている20のルール」のなかで、「会社は聞くべきだ」ということを挙げている。彼は「あなたから話し続けるのではなく、語るのと同じくらい聞くべきである。そこに対話の鍵がある」と言う。ユニクロはもっと顧客の、離反客の声を聞くこと。マクドナルドは、同じく顧客と離反客の声を聞くことだが、それをもっと深く、さらに効く範囲を広げることが復活に向けた大きな課題であるといえるだろう。
【追記】
今日、2015年9月3日の日経新聞の記事でユニクロの2015年8月期の国内既存店売上高が前の期比6.2%増と発表があった旨記載があった。8月単月でも3ヶ月ぶりに前年同月を上回ったという。しかし、これで復活とは思えない。
見過ごせない数字が載っていた。<14年秋冬物から本体価格を平均で5%程度引き上げたこともあり、既存店の客単価は前の期を9.4%上回った。一方で客数は2.9%減った>とある。客単価が上がり、客離れが進む。これは、多くのアパレルブランドで客離れによる売上減を補おうとしてさらに客離れが進み、一部のロイヤル客だけがブランドを支える構図になりブランド衰退の道を進むパターンに似ている。間違いなく、高価格化にNO!と言っている顧客は増えているのだ。
もう一つ、前のコラム、ユニクロはどこへ行くのか?で「ユニクロ(ファーストリテイリング、もっと言えば柳井社長)は、もはや国内市場を見ていないのでは?」という指摘もあると述べたが、やはり海外市場だけに頼るわけにいかないようだ。日経新聞に昨日から連載されているコラム「ファストリ次へ(中)」では、<海外の店舗は年内にも約840店の国内を逆転する。(中略)だが、2014年8月期の海外売上高は約4000億円と国内の半分に留まる>という。コラムではテコ入れ人事の話なども掲載されているが、当分は国内市場を軽視するわけにはいかないのは間違いない。
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外食産業
2015.07.29
2015.09.03
2015.11.17
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。