ラーメン店「日高屋」を運営する「ハイデ日高屋」は20,015年3~5月期に過去営業最高益をたたき出すなど元気だ。そのヒミツは、従来からのサラリーマンの「ちょい飲み需要の取り込み」にあるといわれているが、その利用のされ方も変わってきたようだ。
さて、顧客のニーズと購買行動同様の変化に機敏に対応し、業界定義を変えて成長した例としては、今回の飲食に限らず優良な事例がある。100円ショップの「セリア」だ。2008年頃、100円ショップ業界全体が不景気と原材料費の高騰によって苦しみ、中小零細がバタバタと倒れ、業界第2位のキャンドゥーでさえ大幅な減益に陥っている時、3位のセリアは専門特化=「業界定義」の変更によって業界2位に浮上下のだ。現在のセリア(店舗名は”カラー・ザ・デイズ”)の店内を思い起こせばわかる通り、彼らは商品点数を減らして「オシャレな雑貨」だけに絞り込み、店内装飾・什器を変え旧来の100円ショップにありがちなゴチャとした店舗空間から変え、「オシャレ100円雑貨業界」という新たな「業界定義」を作り出したのだ。それによって、消費者がただの100円ショップの商品に飽き、固く引き締めた財布のヒモを、新たな魅力を創出することで緩ませ、多くの「セリアファン」を産み出して業績を伸長させたのである。
上記セリアの例のように、「日高屋本格参入による居酒屋業界の変」は、外食・居酒屋業界に限ったことではない。世の中の環境は日々変化し、消費者の購買意向も常に移ろう。その時、どんな業界、もしくは自らが戦う土俵をどのように設定すれば勝てるのかを見抜けるかどうかで、成長・生き残りの未来が大きく変わってくる。それを自分の業界に当てはめて一度考えてみることをお勧めしたい。
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外食産業
2015.07.29
2015.09.03
2015.11.17
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。