今、働き方改革を進める企業より、大きな注目を浴びているRPA。今年はRPA元年とも言われ、早くも他の業界や中堅・中小企業にも浸透し活況で、ちょっとしたブームの感がある。ただ、RPA導入での失敗例もあり、筆者のこれまでの経験を踏まえ、RPA導入を成功に導く5つのポイントを提言していきたい。
大手企業では、将来の拡張性を見越して 高価なものを選択するケースが少なくない。ただ、導入して間もないにも関わらず、安価なものにリプレイスするといった話をよく聞く。コスト負担が厳しく、また安価なものでも充分要件を満たせるものがあるとの判断である。逆に、安価なものから高価なものといったリプレイスの話は聞かない。あまりよくわかっていないはじめの導入では、高価を選ぶ必然性の無い限り、安価なものを選択しておくのが無難と言えよう。
ポイント3.PoC導入で効果を実証し、関係者を巻き込む。
PoCとは、Proof Of Conceptの略で、概念実証を意味する。PoC導入とは、簡単に言うと、本格導入前のいわゆるパイロット導入やお試し導入といったものである。最近では、PoCを実施後 ほとんどが本格導入に進むとされており、PoCのプロセスを省略し いきなり本格導入に踏み切る企業も少なくない。
ただ、筆者は、それでも このPoC導入は実施した方が好ましいと考える。PoC導入を実施する事で、現場で効果を実証できる。その為、懐疑的だった関係者もより強く巻き込む事が可能となる。巻き込んだ上での本格導入の効果は言わずもがなである。また、効果実証を確実なものとするためにも、PoCでは、技術的に難易度の高い処理は避けた方が得策である。例えば、多くのツールにはOCR技術は実装されているが、(特に日本語では)誤認識する事も少なくないので、こういった技術は避けた方が良い。
ポイント4.業務の分析/評価に、時間とお金をかけない。
RPA化のメリット/期待は、なんといっても業務の自動化によるROIにあるかと思う。(もちろん、ソフトウェアロボットは作業ミスが無い為、業務品質向上の側面もある。)ほとんどのケースで、良いROIを実感できるのだが、たまに導入コンサルティングの費用が膨らみ過ぎて期待通りに行かないケースがある。何の為に導入しているのか、、本末転倒である。
RPA化では、通常のシステム開発の手続きをより簡素化したものにすべきである。対象業務を選定する際、通常であれば、業務を洗い出して 作業工数や煩雑性などの指標を元にRPA化の優先度を評価し ドキュメント化してミーティングといった流れになるかと思う。RPAでは、極端に言うと、事前のドキュメントは作らずに、現場関係者とのミーティングだけで、ある程度感覚的に決めてしまう。またRPAシナリオを作成する際にも、通常では、現場担当者から操作手順をヒアリングしてパワポでそのフロー図を作るといった事が一般的な流れだが、実際に画面操作してもらい それをビデオで録画するだけ(ドキュメント化はしない)といった徹底的に省力化する方が上手くいっている様に見える。
次のページポイント5.本格導入の主体者は、ベンダではなく、自社メンバ。
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2009.10.27
2008.09.26
エフィジェント株式会社 代表取締役コンサルタント
慶應義塾大学 環境情報学部卒。IBM/サン・マイクロシステムズ/PwCコンサルティング社にて、いずれもコンサルタント職として計10年在籍。 その後、エフィジェント社を創業し、代表コンサルタントとして、システムコンサルティング、システム開発活動に従事。専門システムは、デジタルサイネージ/EC/業務システム。