「君たちはどう生きるか」に学ぶ深いコミュニケーションのこころ

画像: 自分自身の喜びの感覚に従って生きられる ©本宮輝薫

2018.03.04

ライフ・ソーシャル

「君たちはどう生きるか」に学ぶ深いコミュニケーションのこころ

内藤  由貴子
一般社団法人フラワーフォトセラピー協会 代表理事

「君たちはどう生きるか」が昨年よりベストセラーになっています。 改めてこの本を読み直すと、深いコミュニケーションを通して、人と人が関わるとはどういうことなのか、自分自身を成長させることについても学ぶべきことが多々あります。 そして、人の意識と意識のネットワークを通して、人がもっと自分自身になれる可能性を  この本の主人公、コペル君と叔父さんの関わり方を中心に考えてみます。

そのことが叔父さんのその後の人生に大きな影響を与えました。
叔父さんはその遺言の重みを知って、コペル君に向き合い、またコペル君との関係の中で自分と向き合わざるを得なかったからです。

叔父さんは、少年たちの年代に伝えたいことを伝えられる作家を探すのですが、見つかりません。
結果的には、叔父さんはコペル君のノートを元に「自分が書けばいいのだ」と気づきます。

◆ 「人間分子の関係、網目の法則」

この法則は、コペル君が、粉ミルクの缶を見て、オーストラリアの牛から粉ミルクが作られ、日本に届けられて自分の口に入るまで、どれくらいの人が関わったかを考えた時、
「きりがないほど多くの人が出て来ることを発見した!」と叔父さんに伝えてきた時の言葉です。
なお、これを読んだ叔父さんは、『既に「生産関係」と言われているもので残念ながら発見には当たらない』ことを伝えつつ、彼の年でそこに気づいたことを褒めます。

でも私は、コペル君のこの言葉を、もう一回生かしてあげたくなりました。
網目とは、今の時代のネットワークのことです。物の生産はともかく、ここまで見てきたような関係性は、意識のネットワークになっています。
上に書いただけでも、病院の少年→父親→叔父さん→コペル君 となり、コペル君→叔父さんもあり、コペル君→友人→コペル君→叔父さんとまさに網目の関係です。
(ここでは詳細を省きますが、気になる方はお読みになることをお勧めします)
それぞれが、関係の中で自分が作られ成長していくことを感じています。

叔父さんは、ノートの中で、
「人間が人間同士、お互いに好意をつくし、それを喜びとしているほど美しいことは、ほかにありはしない。
そして、それが本当に人間らしい人間関係だと、―――コペル君、君はそう思わないかしら。」

と問いかけています。

私たちは、その網目の交点にいる存在として、人間らしい人間関係をつくるためには、そこに相手への理解、愛が必然でしょう。
私たちの意識がネットワークの中で、それぞれを成長させるだけの「何か」を与え合えるのか、
この本は、改めて大人である私たち自身にも、戦前から時代を超えて問いかけてきたようです。

大人の私たちにも「君たちはどう生きるか」を改めて問われているのではないでしょうか。

※「漫画 君たちはどう生きるか」原作 吉野源三郎 漫画 羽賀翔一(マガジンハウス刊)より引用しました

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内藤  由貴子

一般社団法人フラワーフォトセラピー協会 代表理事

こんにちは。内藤由貴子です。花の写真でストレスを作る感情を分析、心理診断を行い、さらにその解消まで行うフラワーフォトセラピーのセラピストです。INSIGHTNOWでは、異色な存在かもしれませんね。このセラピーの普及のため、一般社団法人フラワーフォトセラピー協会を設立、講師の養成、セラピストの紹介を行っています。自身、色を使うオーラソーマ®をはじめ、セラピストとして16年あまりのキャリアです。このINSIGHTNOWでは、こころをケアに役立つようなコラムを書かせていただきます。よろしくお願いいたします。

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