「君たちはどう生きるか」が昨年よりベストセラーになっています。 改めてこの本を読み直すと、深いコミュニケーションを通して、人と人が関わるとはどういうことなのか、自分自身を成長させることについても学ぶべきことが多々あります。 そして、人の意識と意識のネットワークを通して、人がもっと自分自身になれる可能性を この本の主人公、コペル君と叔父さんの関わり方を中心に考えてみます。
叔父さんは、コペル君が「人間は分子」と語れたことに感動をするのですが、彼に伝えたい事柄も、また彼が語った言葉から刺激されて、叔父さんの中でイメージが広がった世界なのです。
つまりコペル君とのコミュニケーションを通じて得たことから叔父さんの思考もまた、整理され発展しました。
◆ 関係性が自分自身を磨く
さて、手前味噌ですが、私が代表をしている「一般社団法人 フラワーフォトセラピー協会」では、学ぶ人たちに初級の頃から、「関係性自我」のことを教えています。
関係性自我をググってもこの5文字言葉では出てこないのですが、現協会長が作った言葉だからでしょう。
私たちはそれぞれ、誰かとの関係の上で存在しています。私がいてあなたがいます。
あなたから見れば、あなたが「私」で私は「あなた」なのですから、これだけでも「私」は「あなた」との関係で成り立っていることに気づきます。
コペル君は、叔父さんから人間分子論のような発見を「決して小さな発見ではない」と認めてもらえたことで、自分が持つ世界観を叔父さんによってよりクリアにすることができました。
認められたことは、自分の世界を「理解されたこと」です。真に理解されると人は「愛」を感じます。
さらに叔父さんもまた、先ほど書いたように、自分の世界観と繋げられました。叔父さんもまた、コペル君に理解されていくからです。
コペル君はもちろん、叔父さんとのやり取りで、自分の世界を広げ成長させ、コペル君は、さらにコペル君自身の世界が磨かれ深められ、もっと自分らしくなっていきます。
そして、叔父さんにも、相手が子供とはいえ、同じことが起こっていると言えます。実際にコペル君の貧しい豆腐家の友人、浦川君のことを語るコペル君に刺激を受けたと言う件も書かれています。
叔父さんもまた、彼を通して何かを得て、意識が広がっていくのを感じます。
◆ 人と人との関係が新たな自分を作っていく
コペル君の父親は叔父さんに、入院中に知り合った少年のことを話します。
その少年は退院しましたが、父親は彼と話すことで、励まされると同時に、苦しかったと叔父さんに打ち明けます。
なぜなら、その少年の年代の子たち、そして自分の息子に、もっと伝えたいことがあったのに、叶わない無念さ、し残したことに気づいたからです。
父親もまた、入院中の少年との対話を通して、し残したことに気づかされ、最後の思いを妻の弟に託したのです。
その少年との対話から得た大きなものは、最後にし残したことへの気づきとなって、父もまた、漠然とした思い残しではなく、残り僅かな自分の人生を再構築する機会になりました。
次のページ◆ 「人間分子の関係、網目の法則」
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2018.03.28
2018.04.06
一般社団法人フラワーフォトセラピー協会 代表理事
こんにちは。内藤由貴子です。花の写真でストレスを作る感情を分析、心理診断を行い、さらにその解消まで行うフラワーフォトセラピーのセラピストです。INSIGHTNOWでは、異色な存在かもしれませんね。このセラピーの普及のため、一般社団法人フラワーフォトセラピー協会を設立、講師の養成、セラピストの紹介を行っています。自身、色を使うオーラソーマ®をはじめ、セラピストとして16年あまりのキャリアです。このINSIGHTNOWでは、こころをケアに役立つようなコラムを書かせていただきます。よろしくお願いいたします。