皆さんは「ふるさと納税」ではなく、「ふるさと投資」という制度をご存じでしょうか? 地域支援を目的とした「ふるさと納税」と基本的なコンセプトは同じですが、地域発の新しいクラウドファンディングとして、いま全国的に大きな広まりを見せています。 ただ、ふるさと納税と比べるとまだまだ認知度が低く、制度自体の存在を知らない人も多いようです。ふるさと投資とはどんな仕組みの制度なのか、ふるさと納税とはどんな点が異なるのか……具体的な事例とともに詳しく見ていくことにしましょう。
地方自治体や地域連携で広まるクラウドファンディング
ここ近年、クラウドファンディングの手法を活用した、地方創生の取り組みが大きな盛り上がりを見せています。
そのひとつとして挙げられるのが、皆さんもよくご存じの「ふるさと納税」です。2008年の導入当初、利用者は全国で2000~3000人程度とマイナーな存在でしたが、各自治体が地域ならではの豪華返礼品を用意したことで一気にブレイクし、いまや利用者は約13万人にまで拡大。最近は過熱化する返礼品競争などが問題となっていますが、クラウドファンディングのダイナミズムを地方財政の補完に組み込んだ、行政としては例を見ない革新的な取り組みといえるでしょう。
さらに、ふるさと納税に続く地域発の取り組みとして、いま新たに注目されているのが「ふるさと投資」です。
ふるさと投資とは、地域資源の活用やブランド化など、地方創生・地域活性化を進める事業に対して、クラウドファンディングなどを利用して個人が小口投資(一口1~5万円程度)できる制度です。投資を受けた地域事業者は3~10年をめどに出資金を活用・運用し、出資者は投資先事業の業績に応じた分配金(投資型)や、製造商品・特産品・宿泊券などの特典(購入型)を受け取ることができます。
導入にあたっては、2014年に内閣府地方創生推進室が「ふるさと投資連絡会議」を設置し、地方公共団体や金融機関がクラウドファンディング事業者と連携して、地域に根づいた事業をサポートする取り組みを推進。すでに日本全国の公共団体などが中心となって、クラウドファンディングによる募集が行われており、地場産業の振興や街づくりを目的とした多様なプロジェクトが誕生しています。
全国から次々と発信!ふるさと投資のプロジェクト事例
では、クラウドファンディングを活用したふるさと投資の事例として、これまでに全国各地から発信されたプロジェクトをいくつかご紹介しましょう。タイトルを見ただけでも、ちょっと興味がわいてきませんか?
たとえば、環境に配慮したエコロジーな発電を目指す「市民風車ファンド2014石狩厚田」は、風力発電所の建設コストの一部を投資型のクラウドファンディングで調達。発電所の事業収益は、出資者へ分配金として支払われるほか、石狩市の「環境まちづくり基金」に寄付され、地域の環境保全に活用されています。
また、「伊賀産山田錦仕込み 半蔵ファンド2015」は、三重の銘酒「半蔵」を醸す大田酒造に出資すると、ファンド対象期間中の売上実績に応じた分配金に加え、4500円相当の「半蔵(純米大吟醸 伊賀山田錦)」がもらえる出資者特典も! これは日本酒ファンにはたまりませんよね。
※現在、上記プロジェクトへの応募は終了しています。
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