北朝鮮がミサイル発射を繰り返す毎日。そこで今回は、リスク回避相場を考えてみたいと思います。 リスク回避相場とは、今回のようなミサイル発射、またテロ事件など有事を想定した場合の金融商品の反応を示しています。21世紀に入ってから、イスラム諸国からのテロ事件が注目されています。 2001年のニューヨークでの同時爆破テロが一番典型的な例と言えます。そこから始まったアルカイダ、IS(イスラム国)或いはイラン、イラクに対する米国などからの攻撃が主立った事象と言えます。最近では、欧州諸国でのISからのテロ事件も同種のものと考えられています。そして北朝鮮のミサイル攻撃も。リスク回避は地政学リスクとも解釈されています。このような相場環境が、金融市場に与える反応を見てみましょう。
リスク回避相場ですから、リスク商品つまり投資家が通常の金融相場環境で値上がりすると考えている商品、つまり株式市場では、利食い売りに走ろうとする投資家心理が、その相場を押し下げます。
そして反対に、リスク回避対象の金融商品に資金が集まることになります。つまり安全資産へと。その典型は、債券相場と短期金融市場、そして金相場と言えます。
通常投資家は債券、短期金融市場の口座を株式相場の口座と共に持ちます。今回のようなミサイル発射の事象に対して、安全志向に走る場合には、その事象が長く続くと判断すると債券市場に資金を移動させます。債券価格が上昇して、利回りが低下する動きとなります。事象が短期に終了すると投資家が考えれば、短期金融市場に資金を滞留させることになります。証券会社などではMMFという金融商品が受け皿となります。
要約すると、リスク回避相場となると、株式相場下落、その反対に債券相場上昇(利回り低下)、短期金融市場に資金が滞留することになります。金利低下の動きですから、中央銀行が利下げの動きをするのではないかと錯覚を起こしがちになります。
しかし、2001年のNYでの同時爆破テロ事件のように、経済に大打撃を与えたために、FRB(米連邦準備理事会)が利下げを行い、実体経済に低利の資金を潤沢に供給することにつながりました。結果的に株式を売却し、債券買いに動くという投資家行動は正当化されることになります。リスク回避要因が経済に対して悪影響を長期に渡り及ぼすかどうか、投資家は判断を慎重にそして深く考えることになります。参考までに現在日本国債10年-0.01%と久しぶりにマイナス圏の意利回りとなっています。米債10年も利回り低下傾向が続くことも考えられます。
そして、リスク回避相場の典型的受け皿は金相場と言えます。こちらは単なる受け皿にとどまらず、リスク回避相場では価格上昇が見込め、投資家には人気の商品です。有事の時には金相場を買えという格言もあります。経済が順調に成長し、株式相場などキャピタルゲイン(価格上昇)が狙える商品、そして高利回り債券など高い利子が見込める商品に資金は向かいます。反対に有事の時は利子を生まないが、何があっても資産を安全に確保できるという金融商品に資金を集中させます。
それが金とも言えます。歴史的に見ても、戦争などの場合には、富裕層、権力者が金で資産を保有することが証明されています。金は劣化することなく、そして貴金属として歴史を越えて人気を博しています。
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