OJTでもOff-JTでもない。『OCT(オン・ザ・チャンス・トレーニング):機会の中でヒトは自ら育つ』というのがホンダのDNAである。
他方、
ひとつの完結するプロジェクトなり、大きな仕事単位を
どっさり任されることは、
全人的に、全体的に取り組まねばならない奮闘であって、
それは格好の
体験、学習、コミュニケーション、修羅場、歓喜の機会を与えてくれます。
その意味で、実に「ふくよか」なのです。
現在、世の中のさまざまな研修教育プログラムは、
細分化の流れにあります。
これは、今のビジネスがどんどん分業化・煩雑化し
専門能力が欠かせないことと呼応しています。
現在の組織内のヒトの問題の一つを挙げれば、
ヒトがいやおうなしに「知識でっかち」「技能でっかち」になっていく中、
全人的・全体的に仕事を動かせるヒトが激減していることです。
すでに多くのミドル層でそれができなくなっているとすれば、
若手に対する現場のOJTの内容は乏しいものになるでしょうし、
近い将来の幹部人財の供給にも難が出てきます。
*****
還元論と全体論というのが、科学の概念であります。
還元論は、物事を基本的な1単位まで細かく分けていって
それを分析し、物事をとらえるやりかたです。
人間を含め、自然界のものはすべて、
部分の組み合わせから全体ができあがっているとみます。
西洋医学は基本的にこのアプローチで発展してきました。
胃や腸などの臓器を徹底的に分析することで、
さまざまな治療法を開発するわけです。
他方、胃や腸など臓器や細胞をどれだけ巧妙に組み合わせても、
一人の人間はつくれない、
全体はそれ一つとして、意味のある単位としてとらえるべきだ
というのが全体論です。
東洋医学が主にこのアプローチです。
どうも、私には、技能研修や知識研修は、還元論アプローチにみえます。
一方、ホンダの『OCT』は、全体論アプローチにみえます。
医療の世界で、東洋医学への見直しが高まっているように、
(ガンと共生する考え方や漢方薬、ヨガなど)
人財育成も、全体論的な角度からの見直しが必要だと思います。
小難しいことではなく、チャンスをどんと与えることだと思います。
本田宗一郎は、「やりもせんに」といいました。
サントリーの鳥井信治郎は、「やってみなはれ」
ナイキのCFコピーは、「Just Do It !」
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2007.06.19
2007.06.28
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。