調達改革や調達戦略は次第に事業戦略や製品戦略とアラインしないと意味がなくなってしまいました。 特に従来型の量産、カスタマイズ型調達戦略の先進事例である自動車業界での事例を多くの他業界に当てはめることに無理が生じてきていることに皆が気付き始めています。
前二回の記事では、過去から現在にかけての日本企業の調達購買改革についておさらいをしました。
その中で日本企業が脱属人化の流れの中で当初は欧米型の集中購買、競争化、効率化、サプライヤ集約、標準化といった調達改革手法からスタートし、その後サプライヤマネジメント、ユーザーマネジメントと言った従来の日本型調達改革手法とバランスを取る方向に向かっていると、申し上げてきたのです。今回は引き続き今後の調達改革がどういう方向に向かうのかについて述べていきます。
以前私は「調達購買改革を巡る誤解」というレポートの中で今後の調達購買改革のポイントを2つあげました。「キーワード型改革からの脱却」と「考えられる組織作り」です。
この2つの点についてもう少し具体的に考えてみましょう。
最近お客さんから、よく聞かれる質問があります。調達改革の先進事例はいつも自動車や電機などの量産型製造業の事例が多い。量産型でない事業での調達改革や調達戦略はどうあるべきか、と。
確かに先進事例は殆ど自動車、電機などの量産型事業の事例が多いです。これらの産業はボリュームメリットを引き出せる業種ですし、もしくはボリュームメリットを引き出さなければ競争力がない世界
になります。
それに対して半量産や受注生産型事業では量産型と異なった調達改革や調達戦略が必要ではないか、ということがその質問の背景でしょう。今まで私はそういう質問に対して調達改革やその手法は
対象としている品目により多少の方言はあれど基本的には共通していると考え答えていました。
しかし徐々にそうではない世界になりつつあるな、と考えるようになっています。例えばある企業や事業では購入品や調達に求める機能のうちコストよりも納期が最優先である、ということも考えられるでしょう。そうすると必ずしもソーシング業務がパーチェシング業務より重要だという概念は正しくありません。
また同じ量産型事業であっても業種によって購入しているものは異なります。そすすると自ずと求められる調達戦略自体も変わるのです。例えば自動車は殆どの購入品がカスタマイズ品ですが、それに対して電機業界はほぼ全ての購入品はパッケージ品(汎用品)です。当然ながらカスタマイズ品とパッケージ品で求められる機能や要件は異なります。カスタマイズ品はコストもそうですがよりテクノロジがより重視されるでしょう。これは開発能力や要員がいるかどうか、も含めてです。
一方でパッケージ品は品質、納期の安定性や徹底的な低コストが求められます。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。