2000年以降どちらかと言えば欧米型の集中化、競争化、集約化と言った調達購買手法が主流だった日本企業の調達購買改革ですが、ここ数年違った流れが出てきています。 それはサプライヤマネジメントとユーザーマネジメントという日本型調達購買改革の手法です。
何回か述べてきましたが、2000年当時からの調達購買改革の流れは欧米型改革が中心でした。サプライヤ集約、競合化、集中購買推進、業務の集中化等などの手法により従来は単なるコストセンターであった調達購買部門をプロフィットを生み出す部門にさせたのです。
一方でこの数年は異なった流れが出てきています。
一つはサプライヤマネジメントです。
サプライヤマネジメントとは、供給市場分析を元にサプライヤとの関係性を戦略的にとらえ、強固なサプライチェーンを共に築き上げるための囲い込みやモチベーション向上などの施策を打っていくことです。ここではサプライヤとの対等な関係づくり、双方向性が重要となります。
例えば評価が高いがこちらを向いてくれないサプライヤA社と、評価はA社に劣るもののこちらを向いて協力的であり、サプライヤのトップとの信頼関係も強いB社、どちらを大切にしますか?という問いがあったとしましょう。それに対して、もちろんB社です、と即答でき、評価が低い部分はサプライヤB社と一緒に改善を進めていきます、という企業が増えているのです。
従来日本型サプライチェーンの構造はどちらかというと社内の生産能力不足を補うために自社の生産を外注化する形で作られていきました。そのため元々はサプライチェーン全体で生産性を上げて競争力を強化することが求められていたのです。日本型の系列取引は正にこのような構造から生まれてきたものです。
一方で、自社製品の技術の進化・複雑化により従来の外注化の構造とは異なった形で自社にない技術やサービス、製造能力を外に求めるようになり、サプライヤを技術の補完先やソース先としてみる新たな関係性づくりが求められるようになったのです。
一方で国内の外注構造はリストラクチャリングが求められるようになりどちらかというと従来型の外注構造の再編が進んだのが90年代後半から2000年代の前半でした。
経済産業研究所が発行している2015年のレポートで日本の完成車メーカーと一次サプライヤとの取引構造について1989年から2010年まで分析しています。そのレポートではこのような分析結果を提示しています。
1.取引のオープン化は期間を通じて少しずつ進んでいる。その要因となっているのは完成車メーカーが取引先を増やしているのではなくサプライヤが取引先を増やしていることによる
2.オープン化よりも早いペースで完成車メーカーと既存サプライヤの取引関係の組み換えが起きている。
次のページ3.長期的な取引を維持している部品、サプライヤも多いが...
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。