今は当たり前となった調達購買改革ですが十数年前の状況は全く異なっていました。 どのような状況だったのでしょうか。
私は20年近く調達購買改革支援の仕事をしていますが、当初は戸惑うことが多くありました。
私自身は自動車会社での調達部門と外資系のGEという会社での現場経験がありましたが、2つの会社で経験したことと、コンサルティングの経験で大きな隔たりを感じていたのです。
それは調達購買部門の方たちがとても保守的だ、という印象でした。
自動車会社の調達購買部門は会社の中でも発言権が高く関連部門からはとても信頼されながら仕事を進めています。また何か新しい取組をするにも大きな抵抗はありませんでした。GEという会社で私は間接材調達の立ち上げを担当していてこれは全く新しい世界でしたが、効果も大きく社内でもとても高い評価をしてもらったという思いがあります。
一方でコンサルティングの経験では、多くの企業の調達購買部門がとても保守的で改革に積極的に取り組む姿勢が欠けているように感じらたのです。
例えば約十数年前にある企業に間接材調達改革の提案をしたときの話。
そもそも私も会社を立ち上げたばかりで、自社で大企業とのリードがある訳ではありません。そのため大手SIさんに依頼され同行営業する、といった形態が多かったことを記憶しています。その時も、とあるERP会社さんの営業の方と同行営業した時のことでした。私が人材派遣とか印刷費とかGEではこういう取り組みをしていてこんなに成果を出した、と紹介した時に対面の調達部長がこうおっしゃったのです。
「人材派遣、、そんなものどうでもいいよ。我々が調達しているものは
もっと重要で専門性の高いものだから」と。それも吐き捨てるように。
確かにその頃は日本企業で間接材、サービス商材の集中購買に取り組んでいる企業はごく僅かでした。しかし一部の企業ではこの取り組みで大きな成果を上げていることが次第に伝わってきていました。しかしそれにも関わらず、全く聞く耳を持たない方が多かったのです。
同じ会社さんの役員にやはり提案する場があったのですが、そのERP会社さんの提案内容にちょっと間違いがあったのですが、その役員が烈火のごとく怒りはじめたのです。確かに間違いはあったものの大したミスではなかったので、私はその役員に一言返そうとしましたが、その直前にこのERP会社の営業担当役員の方が平謝りされました。頭を下げて土下座に近いくらい正に陳謝されたのです。
私にはその調達担当の役員が怒っている様子があまりにも理不尽で上から見下ろす態度だったので、この人は継続的な取引がある自分たちサプライヤに対しても「下請け企業」に対する態度をとっていると感じました。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。