コスト削減手法にもトレンドがあります。高成長期のIE手法から、その後のソーシング手法、これからはイノベーションを活用したゼロサムではないコスト削減手法がどんどん出てくることが期待されます。どのような手法でしょうか。
イノベーションは「安いところから買う」とか「(コスト妥当性を評価し交渉して)安くする」というややゼロサムに近い世界から脱却し、無駄な買い物を抑制することにつながり結果的に大きなコスト削減効果が出ると考えられます。従来は単価を下げることにばかりに集中していました。しかし、よく考えてみると1個10円のものを1円、2円などの単位で単価削減をしても1個余計に無駄な買い物をすればこの単価削減が全くの無駄になってしまうことが分かります。そもそも何が無駄な買い物で何が無駄な買い物では
ないか自体が見極められていない、のが現実ではないでしょうか。このように、今後は何かのイノベーションを活用することでそもそもの購入量を削減するような方向にコスト削減手法はシフトしていくでしょう。
例えばIoTの活用などはその最たるものでしょう。IoTは資産効率を高めたり、在庫最適化に直結するイノベーションです。稼働率の管理が可能になり資産効率が高まれば過剰な設備など資産の購入が必要なくなります。同様に在庫の見える化、管理が可能になれば無駄な在庫の購入が不要です。このようなIoTというイノベーション活用によるコスト削減事例のようなコスト削減手法はこれからのトレンドとなっていくでしょう。
間接材などは在庫管理という概念がありません。しかしこれは管理コストがかかるから管理していないだけであり、イノベーションによって低コストで在庫管理が可能になれば無駄な買い物を一気になくすことができます。これはモノだけでなく、サービスでも同じようなコスト削減手法が可能となっていくでしょう。このようにイノベーションを活用し無駄なサービス費用を削減する、という興味深いコスト削減手法活用事例を最後に紹介します。
対象となるコストはゴルフ場の維持管理コストです。ゴルフをやられたことがある方なら想像できるでしょうが、ゴルフ場の芝生等のメンテナンスはとても行き届いています。
同時に相当なコストがかかっているようです。私も趣味などでゴルフをやるのですが、やはり手入れが行き届いているゴルフ場は気持ちいいですし、多くのゴルファーがゴルフというものはそういうものだと考えていることでしょう。
これは、ゴルフ場経営会社の調達部門にいた知人バイヤーから伺った話なのですが、実はこの管理コストで大きなポーションをしめているのが肥料や水などの維持管理用の資材費用と人件費なのだそうです。そして中でも無駄なコストと考えられるのは芝生の状態は「ベテランの管理者がチェックをしないとわからない」ため、その人が芝生の状態を見て回る時間(コスト)がたいへん多くかかってしまうことなのだそうです。またその時間を節約するために、本来ならやらなくていい箇所にも肥料や水をやることになり、それは芝生にとっても良くないし、肥料コストの無駄につながるとのこと。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。