マーケティングの因数分解パート3「STPを研ぎ澄ませ!」

2017.01.11

営業・マーケティング

マーケティングの因数分解パート3「STPを研ぎ澄ませ!」

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

STP、すなわちSegmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)。これこそはマーケティングのキモである。STPの設定次第で、ビジネスの成否が決まるといっても決して過言ではない。従って自社がビジネスを展開する、セグメントとターゲットの変化には、いつも気をつけておきたい。

ポジショニングが勝負を決める

STPは、この順番で考える。まず自社が勝負するセグメンテーション、すなわちマーケットの中のどこで勝負するのかを決める。切り口はいくらでもある。男女、年齢などのデモグラフィックな要素、居住地などのジオグラフィックな要素、ライフスタイルなどのサイコグラフィックな要素などだ。

既に存在する市場を細分化し、新たなマーケットを見つける手もある。清涼飲料水市場での新製品開発なら、茶系、炭酸系、コーヒー系、ミネラルウォーター系、栄養ドリンク系などの中で、どこに絞るのか。仮に茶系とするなら、緑茶、紅茶、ウーロン茶など、もう一段の絞り込みができるだろう。さらに味による絞り込みを加えても良い。

要はマーケットを絞り込めば絞り込むほど、そこにいるはずのターゲットが鮮明に浮かび上がってくる。その際に可能なら、レッドオーシャンではなく、ブルーオーシャンを見つけるよう意識したい。

「ネガぼっち」から「ポジピン」の時代へ

今年の元旦の日経MJ、一面の見出しは「ピンの時代」となっていた。総世帯のうち単身世帯が3分の1を占める現状である。高齢者の一人世帯はともかく、まだ元気に動ける若い人たちは、積極的に一人を楽しんでいる。これを称して「ピンの時代」というらしい。

この記事が出る、つい1週間ほど前には「クリぼっち(ひとりクリスマス)」なる言葉が流行っていたようにも思うのだが、それはそれである。寂しげなぼっちよりは、元気いっぱいのピンのほうが明るいではないか。

この変化を「ネガぼっち」から「ポジピン」の時代へと捉えると、新たなビジネスチャンスが見えてきそうだ。もっとも、日経MJ紙が言うように、本当に「ピンの時代」が到来していて、「社会を変える巨大な個の力」にまで広がるかどうかは、各自が検証する必要があると思う。

とはいえ、データ上ではひとり世帯数の増加は明らかであり、生涯未婚率の上昇は未だ右肩上りとなっている。「結婚したくない」と答える20代は7年間で約1.8倍まで増えている。

20代後半から30代にかけての一人暮らし層の可処分所得を考えるなら、この層は新たなターゲットとして注目すべきだ。

「ファミレス」から「女子レス」への転換

ポジピンは、消費に積極的な層である。一人暮らし故に、自由に使えるお金も時間も豊富に持っている。一方で世の中を見れば、ピン客が心地よく過ごせる場所は、まだまだ不足している。ここにはビジネスチャンスがある。

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