営業利益率50%強、日本の製造業ではダントツの高収益を誇るキーエンス。同社はまた、30歳代で1300万超のスーパー年収でも知られる。謎に包まれた実態に迫るため同社から話を聞いた。
■コミュニケーション能力
キーエンスの営業スタイルは一風変わっている。とはいえ顧客に確実に価値を提供できる(=確実に対価を得ることのできる)商品があれば、無闇矢鱈とご用聞きに回る必要はまったくない。顧客から寄せられる要望に応じて、的確に対応していけばよいわけだ。それを支える仕組みが新商品の学習会や成功事例のロープレである。
しかし、ここで一つ極めて重要、かつ根源的な疑問にぶち当たることになる。キーエンス流の営業スタイルは、どんな人でも訓練さえ積めば身に付けられるようになるのだろうか、と。
残念ながら答は「No」である。キーエンスで活躍するためには、それなりの能力を備えていることが前提条件となる。求められる力は、秀でたコミュニケーション能力である。
当然、採用にあたってはこの能力がさまざまな角度から厳しくチェックされる。最近では就職活動に関する情報がネット上に豊富に流通しているが、キーエンスの面接ではこうした情報はまず役に立たない。なぜなら事前準備で切り抜けられるような安易な面接は一切行なわれていないからだ。
学生達から「説得プレゼン」と話題になっている面接試験では、たとえばいきなり「私は映画を字幕付きで見るのが好きです。吹き替えを好きになれるよう3分で説得してください」といった課題が与えられる。説得のテーマは百以上あると言われ、しかも毎年入れ替えられる。事前準備は不可能である。
いきなりテーマを与えられて説得力のある話をするためには、何より頭のやわらかさ、回転の速さや機転が必要だ。その話し方でコミュニケーション能力が見極められる。説得というからには、当然インタラクティブな要素が含まれる。説得される側は黙ってい聞いているわけではなく、学生に対して反論を加えたりするはずだ。
そのとき説得者のコミュニケーション能力が露呈する。そもそも相手を説得するためには、相手の話を聴くことができなければならない。一方的に自分の考えをまくしたてても、それでは説得は成立しない。この決定的なポイントに気付くかどうかが注視されているはずだ。
なぜならキーエンス営業で何より求められるのは、顧客の話を聴くことだから。それもただ耳で聞くのではなく、心を込めて聴くことが必要なのだ。現場で自らの全身をセンサと化して聴くことが。
コミュニケーション巧者とは本来しゃべり上手ではなく、聴き上手のことをいう。最終的に相手に自分の意見を納得してもらうためには、まず相手をよく知らなければならない。相手の考え方、感じ方がわからなければ、自分の思い通りに相手に理解してもらえる話をすることはできない。言いたいことを一方的にいくら力説しても、それだけでは相手には通じないのだ。
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FMO第4弾【株式会社キーエンス】
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