マーケティングの因数分解パート1

画像: Karolina Grabowska STAFFAGE

2016.09.05

営業・マーケティング

マーケティングの因数分解パート1

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

素晴らしいアイデアを思いついた! これを活かした新製品を開発、あるいは新サービスを展開すれば絶対うまくいく……、と思って始めたビジネスが、うまくいかないことは多々ある。あるいは最初は調子良かったのに、いつの間にかお客様から相手にされなくなることも。そんなときには、どこが悪かったのかを考えてみよう。考えるガイドになるのが、マーケティングの因数分解だ。

『価値と対価』の交換法則

ビジネスとは何か。コトラー先生は、次のように喝破された。すなわち、ビジネスとは「価値と対価の交換」であると。

顧客は、商品やサービスを求めているのではない。その商品やサービスを購入することによって得られる価値のために、対価を払っている。といえば多くの方が、マーケティングの教科書で一度は読んだ「ドリルの話」を思い出されるはずだ。

セオドア・レビット博士は、その著書『マーケティング発想法』で次のように書いた。「ドリルを買う人がほしいのは、ドリルそのものではなく『穴』である」

この格言は、筆者が行うマーケティングセミナーで毎回、次のようなたとえ話を交えて使わせてもらっている。

「この中に、電動ドリルが好きで仕方なくて、何台も集めている人はいますか? そんな人、いませんよね。必要なのはドリルそのものではなくて、ドリルで開ける穴なんだから。だから、もし皆さんの中に時給を計算して3万円を超える人がいるなら、ちょっと考えてみましょう。自分でドリルを買って来て穴を開けるより、時給3000円ぐらいでバイトを雇って、ドリル購入と穴あけをしてもらったほうが、たぶん安くつくのではありませんか。価値と対価の関係を理解するために、これから買物をする時に、自分に質問するクセを付けましょう。それは『これだけの対価を払って、得ようとしている価値はなんだっけ?』です」

『価値>対価=取引成立』の大原則

これがマーケティング方程式のイロハのイである。つまり顧客からみれば、自分が支払った対価以上の価値を手に入れることができれば、そのビジネスは成功である。価値を提供してくれた相手に対して感謝するだろうし、取引を継続する可能性が高まるに違いない。

これが逆の場合なら、「次」はない。例えば、ちょっと奮発して評判のフレンチに行ったものの、QSCAの総合評価が支払った料金に見合っていないとなれば、次はないはずだ。ちなみにQSCAとはQuality(料理)、Service(接客)、Cleanliness(清潔感),Atmosphere(雰囲気)のこと。

ただ難しいのは、価値と対価のバランスが、B2BとB2Cでは大きく異なることだ。B2Bの場合は基本的に極めてクリアである。すなわち価値とは投資対効果である。従って支払った対価(投資)以上の効果を得られるかどうかで、取引が行われるかどうかが決まる。投資対効果が数字的に明らかにならないと、まず稟議を通らない。

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