つい最近、IBMが開発した人工知能「ワトソン」が、医療で画期的な活躍をしたと報道されていた。医師では診断が難しかったがん患者の病名を、わずか10分ほどで突き止めたのだ。よく言われる話だが、医者も人間である。だから、時には誤診も犯す。では、あなたのかかりつけの先生は、診断時にどう考えているのだろうか。
患者としてできるのは、医師の注意力を喚起することであり、医師の思考力の幅を広げてもらうことだろう。具体的には、次のような質問をしてみることだと、本書は勧める。
「他に何が考えられますか」
「辻褄が合わない点がありますか」
「私の問題は、もしかして一つだけではないのではないですか」
あるいは
「症状が起きている患部の周りには、他にどんな臓器があるのですか」
「私の病気は、最悪の場合は何ですか」
といった質問を投げかけてみるのも良い。
相手も人間である。だから、典型的な思考パターンにハマるだけでなく、その時の気分や気性に左右されることもあるだろう。あなたのどこかを、第一印象で気に入らない、と思った可能性もないとはいえない。
けれども、相手が人であるからこそ、あなたに対して親身になって話を聞いてもくれるのだ。これだけは、今のところワトソンくんではどうにも対処できない技である(Pepperくんとワトソンくんが連携するとのニュースがあったから、将来的には、医療での会話応用も考えられているのかもしれないが)。
これまで取材で多くの医師から話を聞いてきた。そのほとんどすべてが、素晴らしい人ばかりである。みんな一様に人の命を救う使命感に燃えている。だからこそ、診断時には、そんな医師の手伝いをするぐらいのつもりで、医師と関われば良いのではないか。そんなことを本書は教えてくれる。
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2015.07.17
2009.10.31