プロダクト・アウト VS マーケット・イン、そのベストバランスとは?

画像: "SEXY"の体現を狙った2015S/Sのキービジュアル

2016.07.20

営業・マーケティング

プロダクト・アウト VS マーケット・イン、そのベストバランスとは?

布田 尚大
株式会社drapology CEO

マーケティング戦略の基本的なアイディア、プロダクト・アウトとマーケット・イン。 SDGsベンチャーとしてエシカルファッションの製造を行うINHEELSを事例に、これらのアイディアの有効な取り入れ方を考えます。

マーケット・インの側面について

代表の岡田も様々なところで語っているが、INHEELSは、それまでナチュラル系・森ガール系のテイストが多く占めていたエシカルファッション市場の中で、セクシー・シンプル・スタイリッシュといったテイストを求めるニーズに応えるポジションを明確に志向している。これには2つの意味がある。

1つは、ビジネスとしての側面である。マーケットポジションに空白があったことはもちろん、社会貢献的な意識が強い女性は、ある程度世帯年収が高い主婦や、キャリアウーマン的な方であることも多い。後者のカテゴリーに属する方は、ふわっとした甘めなテイスト、アースカラーでナチュラルなテイストのアイテムより、黒やグレー、ホワイトでシンプル・スタイリッシュなテイストを好む傾向がある。

もう1つは社会貢献の文脈である。エシカルファッション全体のテイストのバラエティを充実させてカテゴリー全体の魅力を高め、より多くの方に興味を持っていただける存在にしていきたい。

プロダクト・アウトの側面について

上述のマーケット・インの側面と同じ位、INHEELSのアイテムはプロダクト・アウト的である。これは、起業というリスクをとってまで、セクシー・シンプル・スタイリッシュなエシカルファッションを世の中に提案したかったのは、誰よりもインヒールズを立ち上げた代表二人だった、というところに端的に表れている。

このような「自分自身が提案したいものを作る」という姿勢は、今後ますます重要になってくると考えている。それには2つの背景がある。

第1に、企業の「中の人」の個別単位での情報発信の増加がある。SNSや様々なコミュニケーションサービスの普及を背景に、企業スタッフ単位での情報発信が増えていくのは確実である。その中で、「自分が提案したいかどうかでプロダクトのテイストを決める」という事実は、ブランディング・マーケティング戦略というレイヤー以前に、顧客や各ステークホルダーとコミュニケーションする上で大前提となる。

第2に、企業全体のブランディングの重要性の増加が挙げられる。CSVやストーリーマーケティングといった考え方の浸透を背景に、企業そのものを形作るコミュニケーションを行う必要性が増加する。そうした中では、「お客様の求めるものを柔軟に作る」という姿勢以上に、自身のアイデンティティを強烈に打ち出し、自らが中心となるエコシステムを形成することが有効になる。

終わりに

私自身も日々お客様、アライアンス候補の方、メディアの方など様々なステークホルダーとお話しする機会があるが、これまで述べてきたマーケット・インとプロダクト・アウトの両方を含みこむマーケティング戦略が、企業のブランディングに直結することを強く実感している。このような日々のコミュニケーション、毎日の活動を通してマーケティングやブランディングのアイディアやフレームワークを自分なりに落とし込み、使いこなせるようになることで、企業としての意思決定に役立つナレッジを蓄積させていきたい。


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布田 尚大

株式会社drapology CEO

株式会社drapology(ドレイポロジー)代表取締役CEO。ミッションは"美意識を核とする強い企業を100社作る"

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