人は居るだけで影響力を持っている。しかし、その影響力は一様ではない。 では、あなたの「存在の質」とはどのようなものだろうか? 私はリーダーの組織における存在の質について洞察してきた。 組織のパフォーマンスや様々な問題の根底にはリーダーの存在の質が深く関与している。 それは誰かの問題ではなく、私達ひとりひとりの問題なのです。
実際のファシリテーション研修の実例から特徴と本質を鮮明にしていきます。研修と言っても扱うのは実チームを想定したものであり、リーダーの常日頃の関わり方がありありと露呈します。その結果、チームとチーム成果にどのような影響を与えるか。自分一人では気づけない自身の存在の質をリーダー視点、メンバー視点、オブザーバー視点で観察する。
チームとの関わり方は10人十色ではあるが、代表的なパターンを見てみると次の3つのケースであることが多い。
ケース1)あまり乗り気でないメンバーが多いチームであっても、笑顔と明るい声で一瞬にしてポジティブな雰囲気に変えてしまうリーダー。
ケース2)元気がなく、声も小さくはっきり聞こえない。関われば関わるほどチームのエネルギーを下げ重苦しい雰囲気を作ってしまうリーダー。
ケース3)ハキハキと大きな声で話すものの、語気や言い方が高圧的で、チームに過度な緊張感を作ってしまうリーダー。このタイプには人当たりはソフトで笑顔ではあるが、行動は強制的、誘導的なリーダーも含まれる。
ケース1:リーダーの関わりの基本は、チームの意志を尊重し、メンバーが平等にチーム活動に参加できるように配慮しています。チームメンバーは無用な力関係や上下関係にエネルギーを割くことなく、課題に集中し積極的に取り組み、意見も全員から出されます。声の大きいメンバーだけではなく、全員の多様なアイデアが取り入れられることで、回を重ねるごとに前回よりも常に高い成果を出し続けます。成果は小さくとも、成功体験としてチーム全員が喜び、次のチャレンジへのモチベーションとなり、しっかりと次の成果創りに繋がって行く。
リーダーは着かず離れず、一人ひとりを観察し、個人ではなくチームに対して互いの関わりや本気度を高めるための取り組みを促す質問を繰り返し行う。
チームメンバーは強制力ではなく、質問による個々の気づきから生まれた発言や行動によって自立的に前進していきます。そして、最後には当事者であるメンバー自身の予想をはるかに越えるチーム成果を叩き出す。
ケース2:リーダー自身からまったくやる気が伝わってこない。声は小さく、視線もうつむきがち。チームのテンションはどんどん下がり、メンバーの集中力も下がり続ける。始めからリーダーの話を真剣に聴こうという意志がなくなる。結果、チームメンバーにやるべき課題認識にばらつきがでてしまう。数人の積極的なメンバーに引きずられ、大半のメンバーは適当に合わせながら取り組む。顔は無表情か愛想笑い。その場しのぎのやっつけ作業。やらないと終れないから取り組むと言った姿勢がありあり見て取れる。
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2010.03.20
2015.12.13
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。