PDCAサイクルとアウトソーシング

2016.04.21

経営・マネジメント

PDCAサイクルとアウトソーシング

野町 直弘
調達購買コンサルタント

PDCAサイクルを回すことはとても大切なことです。多くの企業でPDまでも行きつかない話をよく聞きます。するとアウトソーシングを活用してPDまで推進しようとする企業が出てきます。アウトソーシングを活用する上で考えるべきことは何で、どのような業務をアウトソーシングすべきでしょうか。

そういう企業さんから相談を受けると私は「まずは自分たちでDをしましょう。その後アウトソーシングした方がよいです。」とアドバイスします。ただやはり様々な事情から丸投げに近い形でアウトソーシングを行うことからスタートする企業も少なくありません。一時的なコスト削減プロジェクトであればそれもありでしょう。しかし多くの日本企業に求められているのは調達購買業務の改革を行いPDCAを回しその仕組みを定着させることです。

一方で自分達である程度PDCAを確立した上でアウトソーシングをしていくことは自然な成行でしょう。それでは調達購買業務のアウトソーシングはどのような形で進めていくべきか。

調達購買業務は大きく分けて契約プロセス(コスト削減実行なども含む)と購買実行プロセスに分かれます。また契約プロセスでも単に必要な都度、見積を入手してサプライヤを探してくるような非戦略的な案件とサプライヤ戦略やリスクマネジメントなどの戦略に基づき推進する契約プロセス(戦略ソーシングと呼んだりします)ではやはり業務の重要性や難易度も
変わってきます。

これらのプロセスの中でもアウトソーシングに向いているのは、やはりルーティン化している業務です。アウトソーシングの基本的な考え方はルーティン業務を外に出して業務コストや業務品質を高めること、です。これ以上でもなく以下でもありません。そう考えますとやはり購買実行プロセスにかかる業務のアウトソーシングが中心となり、一部非戦略的な案件に関する契約プロセスにかかる業務が向いていると言えます。

間接材購買などではコスト削減業務を代行するアウトソーシングを提供している企業があります。私はこれを否定している訳ではありません。以前米国でFreeMarketsという企業がありました。同社は全世界から有力なサプライヤを探してきてオークション等を実行し、コスト削減につなげるというサービスを間接材だけでなく直接材においても提供してきました。
その後FreeMarkets社はARIBA社に2004年に買収され、ARIBA社は従来のFreeMarkets社のソーシングサービスをその後Accenture社に売却。また、ARIBA社はSAP社に買収されています。FreeMarkets社のソーシングサービスは現在Accenture社の包括的なBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の事業の一部になっていると言えます。このようにソーシング事業(企業)の歴史を見て改めて感じるのは、やはりコスト削減代行はあくまでもオプション的なサービスであり、アウトソーシングの基本的な考え方はルーティン業務の業務代行だということです。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

フォロー フォローして野町 直弘の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。