PDCAサイクルを回すことはとても大切なことです。多くの企業でPDまでも行きつかない話をよく聞きます。するとアウトソーシングを活用してPDまで推進しようとする企業が出てきます。アウトソーシングを活用する上で考えるべきことは何で、どのような業務をアウトソーシングすべきでしょうか。
品質管理の大家であるエドワーズ・デミング博士が推奨し、別名デミング・ホイールとも呼ばれるPDCAサイクルですが、やはり長い間コンサルタントをやっているとその重要さを身にしみて感じる場面が多くあります。
PDCAとは言うまでもなくPLAN-DO-CHECK-ACTIONの頭文字をとったもので、品質管理に限らずあらゆる業務や企業経営そのものにも適用できる考え方です。
私はその企業でマネジメント(経営管理)が行き届いているかどうかは、このサイクルが回るような仕組みができているかどうかによって判断できると考えます。そしてサイクルが人に頼らなくても回せる、所謂属人性が排除できているかどうか、があらゆるサイクルで一番の課題と言えるでしょう。
しかし、特に調達購買業務においても多くの企業でこのPDCAサイクルが回っていない状況が見られます。例えば調達購買機能を強化したい、集中購買の範囲を拡大していきたい、間接材購買のチームを立ち上げたい、などの改革についてはPDCAのうち特にDの部分ができないことが多いようです。
「P(企画・検討)は何度もやっているのだが、D(実行)に移せない」という声をクライアントからよく聞いたものです。理由は様々なのですが、やり方が分からない、社内の説得に時間がかかる、上司の承認が取れない、実行した時のリスクを考えるとやり切れない、人材がいない、専門家がいない、などが上げられます。
そうするとP-Dの部分(特にD)をアウトソーシングしようとします。例えばコンサルティング会社に戦略を作ってもらい(P)、実行支援(D)を依頼する。間接材購買で言えばコスト削減推進などをアウトソーシングしコスト削減実行(D)をしてもらうということです。
特に間接材購買は社内(調達購買部門)に専門家がいないことが多いので、外部の専門家に依頼したほうが上手くいくと思われがちなのでしょう。
私はアウトソーシングの一種であるコンサルティングで生計を立てている身分ですので、このようなアウトソーシングの活用自体を否定するつもりはありませんが、アウトソーシングは上手く活用しないととんでもない結果がもたらされてしまうこともあります。
「やり方が分からないから意見を参考にして進めていく」とか「やり方は分かっているけどアウトソーシングを活用することで早く上手く実行できる」という場合はいいでしょう。
しかし丸投げに近い形で自分たちでやったこともないことをアウトソーシングしてしまうのはあまりお勧めしません。丸投げでアウトソーシングしたとしても最終的には自分たちでPDCAを回さなければならないからです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。