日本企業でも部品や原材料以外の製品に直課されない購買である経費やサービス、設備、物流などの所謂間接材購買に関する取組みがどこの企業でも一般的になってきています。ここではその間接材購買を進める上での2つのコツについて説明します。
本来のやり方ですと、まずは現状把握を行い分析をし、その分析に基づいて改善や改革を進めていこうという段階的な手法が王道です。しかし完璧な現状把握を求めていてはいつまでたっても改善や改革に移行できません。ですから「良い加減」で現状把握ができればいいのです。そういう割り切りが1つ目のコツになります。具体的には8-2の法則のように全体の8割の部分を抑えておけば良いのです。これは購買システムの活用や購買プロセスの徹底でも同じことが言えます。「全ての買いモノを購買システムを通して発注する」というルールは無理なルールです。
「良い加減」で管理統制を進めていくということが間接材購買を進める上での1つ目のコツと言えるでしょう。
2つ目のコツは「狩猟民族型」です。
間接材購買は元々なかった組織をつくり進めることが多いのですが、その場合今までも誰かがどこかのサプライヤと契約をしています。つまり調達購買部門が何かしなくても業務活動や事業活動には一切支障は出ません。
一方で直接材購買は多くの企業で調達購買部門がソーシング業務を行うルールになっています。ですから調達購買部門が発注先や価格を決めないとモノが買えないルールになっています。このように直接材購買の場合は何らかのタイミングで必ず調達購買部門が業務に絡みます。
一方で間接材購買の場合はそうではありません。例えば多くの部門が複数のサプライヤと異なった条件で契約をしているなど契約を集約することでコスト削減につながるような場合には、そのような買いモノの機会を調達購買部門が自ら掘り起していく必要があります。間接材購買の場合待っていても何も起きないのです。ですから自ら「狩猟民族」となってコスト削減やその他の改善機会を掘り起こしていかなければならないのです。
その際にはコスト削減の機会がありそうかどうかを見極めていく能力も必要になります。また、関連部門や多くの部門に亘るユーザーとの調整も必要になってきます。いずれにしても自発的に動かなければ何も始まりません。一方で自発的に動くことで改善機会が掘り起こせればそこから得られる効果も大きいことが一般的です。
このように間接材購買のコツで覚えて欲しいのがこの「いい加減」と「狩猟民族型」という2つのキーワードになります。この2つのコツを踏まえてどのように改革を進めればより効果的なのか見極めていくことが重要なポイントになります。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。