日本企業でも部品や原材料以外の製品に直課されない購買である経費やサービス、設備、物流などの所謂間接材購買に関する取組みがどこの企業でも一般的になってきています。ここではその間接材購買を進める上での2つのコツについて説明します。
私は大学を卒業して新卒で勤めた自動車会社で直接材の購買の経験をしました。その後某外資系企業で間接材購買の経験もしています。間接材購買の経験についてはバイヤーとして実務だけでなく、部門立上げに伴う企画的な業務も担当していました。だいたい2000年前後の頃でしたので、日本企業の殆どには間接材購買という概念すらなかった時代です。
私自身にとっても間接材購買の業務は初めての経験でした。その時の実務経験やその後の数々のコンサルティング経験から、「間接材購買には、その特徴を踏まえて2つのコツがあることを理解しおくべき。」だということが分かってきました。
私はコンサルタントですから知識やスキル、経験を一般化、体系化して色々な企業に活用させていくことが仕事です。そういう点からは顧客がよく「うちの会社は特別だから」とおっしゃっていても、それを否定する立場にあります。もちろん間接材も直接材購買もモノを買うという業務や役割、機能は同じです。特にカテゴリ毎の戦略の立て方やソーシング業務や購買実務の進め方などは殆ど違いはありません。ですから特殊性を否定しつつ、違いを認識した上でその特徴にあった改革や業務の進め方をしていく必要があるのです。
それではその2つのコツとはなんでしょうか。
まず1つ目のコツは「いい加減」です。
私が外資系企業で間接材購買を担当した時にまず感じたのは「気持ち悪さ」でした。どういうことかと言いますと、例えば何を誰がどこからどれ位購入(支出)しているかが分からないということです。直接材購買の場合には図面番号が決まっており図面番号ごとに図面もしくは仕様書が明記されています。ようするに何を買っているかなどは調べればすぐにわかりますし、樹脂射出成型品といった工法分類などの作り方も容易に理解できます。
それに対して間接材は費用(勘定科目)項目しか分かりません。どこから買っているかは経理データからある程度把握することはできますが、何を買っているかについては、誰かがそういうデータを入力しない限り分からないのが当たり前です。言い換えると正確に何を買っているか全てを把握することはほぼ無理なこと。
これが直接材の購買をやっていた人間にとってみると「気持ち悪さ」につながるのです。分析もデータに制約がありますから限界があります。こういう性質だからこそ間接材購買は「いい加減」に進めるのがコツなのです。
「いい加減」という言葉は普段「良い」加減ではなく「あまり良くない」加減という意味で用いられることが多いようですが、ここでは「良い加減」で進めるという本来の意味で使っています。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。