上編に続き、組織は働き手に、よき人財として何を求めるか、そして何を育まなければならないかを考える。今回は、「賢慮・美徳性」、「自律した強い個のマインド」の観点から述べる
アランの『幸福論』#89に、次のような一節があります。
「古代の賢者は、難破から逃れて、すっぱだかで陸に上がり、
『私は自分の全財産を身につけている』と言った」。
こうした「個」として悠然とした人財こそが、これからの時代に大事な人財です。
*********
<補足>
雇用組織にぶら下がるでもなく、雇用組織の威を借りるでもなく、
他者や世間の流れに付和雷同することなく、
一個の職業人として悠然と仕事を成していく―――――
そんな「個として強い」働き手は、充分に「孤独感」を味わいます。
ですが、それは決して「孤立感」ではありません。
世の中には、「個として強く」働くがゆえに、
その孤独感を理解している人たちがたくさんいます。
で、そうした人たちは、心の深い次元でつながります。
糸井重里さんの『ほぼ日刊イトイ新聞』の表紙ページにあるあの名文句:
Only is not lonely. が示すとおり、
能あり志ある「個」は、共振し、連帯し合い、コスモスを形成します。
また、古今東西の偉人の書物に触れるとき、
それを“身読・心読”(身で読み・心で読むこと)できるがゆえに、
時空を超えてピーンとつながることができます。
*参考文献
野中郁次郎・紺野登『美徳の経営』、NTT出版、2007年
アラン『幸福論』(白井健三郎訳)、集英社文庫
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【5景】これからの時代の人財要件3
2008.01.21
2008.01.17
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。