上編に続き、組織は働き手に、よき人財として何を求めるか、そして何を育まなければならないかを考える。今回は、「賢慮・美徳性」、「自律した強い個のマインド」の観点から述べる
これからの時代の、真に優れた人財を考えるとき、
業務処理能力が高く、量的な成果をあげることに長けている、という単線的な評価ではいけないと思います。
その組織・事業にとっての「共通善」とは何か?
顧客との間の「共通善」とは何か?
社会との間の「共通善」とは何か? ということに照らして、
仕事の目標や目的を考えることができ、日々の業務の営みに卓越性を求める
―――――つまり働く地盤に、賢慮・美徳性を敷いているか、
そんな目線も同時に必要なのではないでしょうか。
ひょっとすると、これからの時代の「人財に優れた組織」というのは、
「ハイ・パフォーマー」(high performer)をどれだけ抱えているかということよりも、
組織員をあまねく「バーチュアス・ワーカー」(virtuous worker:徳心ある働き手)として押し上げ、
「共通善」の元に求心力を保持している組織ではないかと思います。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
3●「自律した強い個」のマインド
私は人財をみるとき3つの層に分けてみるようにしています。
【第1層】どんな「知識・技能(スキル)」を持っているか
【第2層】どんな「行動特性・態度・習慣」で行動しているか
【第3層】どんな「観・マインド」で、自らのあるべき仕事・人生を考えているか
つまり上から順に、「have」要素、「do」要素、「be」要素で人財をみるわけです。
これまで、人事の世界では、人財をhave要素、do要素の2つで事細かに要件を出してとらえてきました。
しかし、これからは、第3層の「be」要素にもしかるべき視線を入れて、
その人財をとらえ、育成する必要がある、それが今回のこの記事の中心軸です。
で、働き手に、よき人財として、第3層(be要素)に何を求めるか――――
1つは先に言及した「賢慮・美徳」性、
そしてもう1つは、「自律マインド×個として強いこと」です。
働く上での「自律マインド」とはいかなるものか、については、
すでに本サイトで詳しく書きました(→記事1、→記事2)ので、
ここでは特に「個として強い」ことに触れたいと思います。
よき人財というものは、
組織に雇われていようがいまいが、
チームで仕事をしていようがいまいが、
自分が平社員であろうと、管理職・経営者であろうと、
結局のところ、
・一人で考える時間をつくり
・一人で決断し
・一人で率先し
・一人で組織と向き合い、一人で顧客あるいは社会と向き合い
・一人で自らの仕事をつくりだし
・一人で責任を負う覚悟をし
・一人で仕事の完成を目指す 働き手です。
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【5景】これからの時代の人財要件3
2008.01.21
2008.01.17
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。